「5番・左翼」で決死の強行スタメンだ――。ソフトバンクの近藤健介外野手(31)が、きょう2日の「SMBC日本シリーズ2024」第6戦から左翼の守備に就く見通しが立った。チームは1日、福岡空港から横浜に移動。まさかの本拠地3連敗でDeNAに王手をかけられDH制のない敵地に戻るが、右足首捻挫を抱えるリーグ首位打者は10月30、31日と2日連続で左翼守備を確認。小久保裕紀監督(53)は最終判断は試合直前としたが、本人は守備に就く意志を固めている。
泣いても笑っても残り2試合で決着は付く。主力としての責任感が強い近藤。右足首は回復途上だが、左翼を守る覚悟を示した。
「追い込まれているので、向こう(横浜)に行って頑張るだけ。グラウンドに立って思い切ってやるだけ。準備はしてきたので」
準備とはDH制のない敵地で守るための確認作業のこと。第4、5戦の練習開始前に、個別で2日連続で行ってきた。左翼の定位置付近でトレーナーと奈良原ヘッドコーチが見守る中で村松打撃コーチがノックを打った。31日はゴロとフライを捕球後に二、三、本塁へ送球を計8本。その後、フライ捕球を8本。フリー打撃中は野手の打球に対し、スタートを切った。その間、近藤のもとに小久保監督が近づいてしばし話し合っていた。
31日にはチームドクターも来場していた。回復状況の最終確認も終えたとみられる。村松打撃コーチは「監督と近藤本人が決めることだけど、現段階で7割は守れている」。この日の福岡空港で小久保監督は「準備はしてもらっている。最終的に決めるのは明日(2日)やけど」。きょう2日の横浜市内は降雨予報。試合開催が長引くほど首脳陣はより、安心して「5番・左翼」で送り出せる。
崖っ縁に立たされている今、是が非でも横浜に近藤は必要だ。2連勝で迎えた本拠地3連戦は悪夢の3連敗。「5番・DH」で3試合でスタメン出場した近藤は10打数3安打1打点とさすがの内容だったが、4番山川が12打数無安打と封じられ、3試合でチームの得点は29日の初回に近藤の適時二塁打で挙げた1得点だけ。26イニング無得点で、58年の巨人以来となる日本シリーズのワーストタイ記録と並んでいる。
王手をかけられた現状のもと4年ぶり日本一まであと、2勝。再び、横浜に戻る。DeNAの本拠地だが、近藤にとっては横浜高時代に主力として戦い、夏の甲子園出場も決めた地だ。「いや、もうだいぶ昔でしょ」と笑うが、地の利は十分。決死の覚悟で守り、打つ。チームが勝つために、そう決めている。 (井上 満夫)