◇第49回社会人野球日本選手権1回戦 JR東海8―7日立製作所(2024年11月2日 京セラD)
JR東海が両軍合わせて5本塁打の飛び交う乱打戦を制し、18年の第44回大会以来となる勝利を挙げた。
目には目を、歯には歯を、本塁打には本塁打だ。「2番・遊撃」で先発した主将の吉田有輝(28)が決勝の逆転2ランを含む2本塁打で、スコア8―7の「ルーズベルトゲーム」を制しだ。
4―6の7回表に3ランで逆転され、1点を追う裏の攻撃。1死二塁の好機で吉田は迷わず初球を振り抜いた。
「インコースの見逃せばボールになりそうな球。カットボールを狙っていました」
日立製作所の右腕・青野善行とは、4月のJABA日立市長杯で対戦しカットボールがいい投手という印象が残っていた。打球はぐんぐん伸びて右翼ポール際に飛び込み、三塁側ベンチは歓喜に沸き返った。3―4の3回先頭でも先発の右腕・岡直人から右翼席へ飛び込む同点ソロ。1試合2本塁打に「予想外ですね。たぶん高校生以来かな。覚えていないです」と上気した表情で振り返った。
履正社高では14年の選抜大会で準優勝。明大では主将も務めた。JR東海に入社6年目で、昨年の都市対抗予選敗退後から主将に就任。今年も都市対抗予選で敗退し、昨年は選ばれた補強選手からは漏れた。
「すごいショックでしたね。自分の力不足を認めて、すべてにおいてレベルアップしなくてはいけないという思いで取り組んだ」
社会人野球の“夏の祭典”の期間中も、守備面を中心に体幹やフィジカルの強化に取り組んだ。井上裕貴監督は「予選で負けて悔しい思いがあったと思うし、(選手権に)懸ける思いがあったと思う。チームをよくまとめてくれているので、勢いそのままで次の試合へ行ければ」と目を細めた。
吉田にとって、DeNAからドラフト1位指名された三菱重工West・竹田祐は高校と大学の3学年後輩にあたる。
「やっぱり刺激になりますね。全国の舞台で戦うことがあれば、すごい嬉しいなと思います」
トーナメントは反対の山に位置しており、互いに勝ち進んで決勝戦で対戦することを熱望した。