◇SMBC日本シリーズ2024第6戦 DeNA11―2ソフトバンク(2024年11月3日 横浜)
DeNAの桑原将志外野手(31)が「SMBC日本シリーズ2024」のMVPに輝き、記念トロフィーと賞金700万円を手にした。3勝2敗と王手をかけた第6戦でも4打数3安打3打点に、気迫のヘッドスライディングを見せるなどチームを鼓舞。31歳の闘志あふれるプレーが1998年以来26年ぶり3度目の日本一を呼び寄せた。
試合前から“ハマのガッツマン”が躍動した。ベンチで両手を突き上げ、クルクルと体を回しながら声出し。早くもチームの雰囲気は最高潮に達した。
試合が始まり先頭で打席に立つと、三遊間へのゴロで一塁へ気迫あふれるヘッドスライディング。内野安打をもぎとると本拠・ハマスタに大歓声が沸き起こった。
そして0―0の2回だった。4番・筒香の完璧な先制弾に勢いをもらった打線は戸柱、森敬がチャンスをつくり桑原の打席に。相手エースの有原の2球目ツーシームを左前に運び2点を加点すると、一塁ベース上で雄叫びを上げながらガッツポーズを見せた。これで日本シリーズ新記録の5試合連続打点をマーク。ハマスタに「桑原MVPコール」が響き渡った。
第3打席でも左前打を放ち、早くも4回までに猛打賞の大活躍。本拠で連敗を喫した27日の第2戦後。緊急の選手ミーティングで、発言を求められた桑原は厳しい言葉をナインに投げかけた。「はっきり言って今のソフトバンクに勝てる感じがしない。(巨人に4勝3敗で勝ったCS)ファイナル最終戦で負けたら終わりという、それと同じ気持ちで戦っているのか。その気持ちを続けるべきではないか」。ソフトバンクに屈した17年のシリーズを知る男は、その言葉を自ら体現した。そこから敵地3連戦含む4連勝。シリーズ6戦で1発含む12安打9打点の大暴れで、チームをシーズン3位から26年ぶり日本一に導いた。
日本一を決めた瞬間、ようやく表情が緩んだ。筒香と何度もハイタッチを交わし歓喜の輪へ。横浜の夜空に5度舞った三浦監督の胴上げ中も笑顔がはじけた。
そして、大歓喜のハマスタでMVPに選ばれ名前を呼ばれた桑原は、笑顔で「本当に幸せです。目の前の試合を一戦一戦、チームを絶対引っ張っていくっていう強い気持ちはありましたんで、みんなとともに日本一が獲れて本当にうれしいです」と自身の言葉をかみ締めるように語った。連敗から4連勝で一気に日本一。「本当…夢のような、はい、ほんと、ずっとそこにたどり着きたかったところなんで、うれしいです」と最高の景色を心に刻んだ。
◇桑原 将志(くわはら・まさゆき)1993年(平5)7月21日、大阪府生まれの31歳。福知山成美で主将を務めた3年夏は府大会準決勝で敗退し、甲子園経験はなし。11年ドラフト4位でDeNAに入団。1年目の12年10月1日の中日戦でプロ初安打。14年に内野手から外野手へ登録変更。1メートル74、80キロ。右投げ右打ち。