世界一の瞬間をマウンドで迎えるのは俺だ!侍ジャパンの大勢投手(25)が3日、国際大会「ラグザスpresents第3回プレミア12」に向けた宮崎市内での強化合宿で初めてブルペン入りし、16球を投じた。すでに井端弘和監督(49)から守護神としての起用を伝えられていることを明かした右腕は、昨春のWBC経験者としてもチームを引っ張る自覚を口にした。
直々の指名に奮い立った。侍ジャパン集合日だった10月28日。大勢は井端監督から「9回は頼むよ」と託された。巨人でも任されている守護神への抜てき。「誰もが任されるところではない。それを直接言われたというのは誇りに思う。その期待に応えたいなという一心です」と言った。
あの瞬間が目に焼き付いている。昨年3月のWBC決勝の米国戦。7回に登板していた大勢はゲームセットを三塁ベンチで迎え、DHを解除して9回のマウンドに上がって胴上げ投手となった大谷(現ドジャース)の元へ駆け出した。「凄い球場が盛り上がっていた。最高の結果で終われたので本当にうれしかった」と振り返る。
あれから1年8カ月。今度は自身が最後の試合を締め、迎え入れる。井端監督に「何も心配していない。そこ(9回)は全幅の信頼を置いて送り出せる」と期待された右腕は「それ(胴上げ投手)が最高だと思うし、積み上げないとそこにはいけない。目の前の一戦一戦に集中して、試合に取り組みたい」と意気込んだ。
この日、正捕手候補の坂倉を相手に16球を投じたブルペン投球では、高めへの直球も数球投じた。「日本人の打者とは全然違うと感じる。高めの真っすぐをどんどん使って打者の反応を見ながらやりたい」。肌で感じているからこその意識。「独特の雰囲気があるので四球とか無駄な走者を出さないように。持ち味をしっかり出して強気に勝負したい」と国際舞台を見据える。
ともにWBCではあるが、09年のダルビッシュ(現パドレス)、昨春は大谷が世界一の瞬間にマウンドに立ち、ともに名場面としてファンに語り継がれている。「しっかり自分の準備をしてマウンドに上がりたい」と大勢。世界一を知る男が、歓喜の輪の中心に立つ。(小野寺 大)
【近年の侍ジャパンの主な胴上げ投手】
☆ダルビッシュ有 09年の第2回WBCでは準決勝からクローザーに回り、韓国との決勝は1点リードの9回に登板。2四球と適時打で同点にされるも、延長10回にイチローが勝ち越し打。最後は空振り三振に打ち取り、マウンド上で雄叫びを上げた。
☆山崎康晃 19年プレミア12で抑えを務め、韓国との決勝では2点リードの9回に登板。全球、得意のツーシームで勝負を仕掛け、最後は空振り三振で捕手・会沢と抱擁。
☆栗林良吏 21年の東京五輪では守護神として全5戦に登板。米国との決勝でも9回に登板して無失点で締め、捕手・甲斐に抱えられて歓喜した。
☆大谷翔平 23年の第5回WBCの米国との決勝で1点リードの9回にDHを解除して登板。最後は当時エンゼルスで同僚だったトラウトを空振り三振に斬り、頭上にグラブをぶん投げて喜びを表現した。