阪神紅白戦に白組の「5番・右翼」で先発した豊田が、両軍唯一のマルチ安打となる2打数2安打と気を吐いた。
「アピールするだけだと思っているんで。積極的にいこうと思って、試合に臨んだので、2本出たのは良かったかな」
新体制始動となった秋季練習初日の10月22日。藤川監督に、育成右腕の小川と顔を間違えられるひと幕があった。一転、この日は2回1死で門別から放った右前打が、藤川阪神の初実戦で両軍通じて初安打。4回2死では浜地からの中前打と、名刺代わりとも言える快音を連発した。
来年4月には28歳になる。20代前半が多いキャンプ参加メンバーの中では、決して若くはない。6月13日のオリックス戦でプロ初安打を放ったが、後半は2軍暮らしが続いた。監督が代わり、豊田に訪れた最大のチャンス。1軍での居場所をつかむべく、連日泥にまみれている。過酷な日々を送る中で、指揮官との何気ない会話が、心の癒やしになっているという。
「監督から食事会場で“下半身はジーン(アルナエス)に似ていて、横顔は(田中)秀太さんに似ているな”と言われました。さすがにもう覚えてくださっていると思います」
見た目だけではなく、貴重な戦力としても虎将の脳裏にその存在を刻み込みたい。4回に安打を放った際には単独スチールのサインを出されたものの、二盗失敗。「今度は成功できたらいい」。4年目となる来季の躍進へ、走攻守、全てのプレーで猛アピールを続ける。 (八木 勇磨)