広島の首脳陣と38選手が3日、宮崎・日南入りした。きょう4日から始まる秋季キャンプを前に、新井貴浩監督(47)は主力も含め、レギュラー争いは横一線で白紙であることを強調。今キャンプでは9試合の実戦を設け、選手個々の能力を徹底的に伸ばして戦力の底上げを図る構えだ。今季、遊撃の定位置を獲得した矢野雅哉内野手(25)も決意を新たにした。
新井監督が競争の激化を予告した。17日間の秋季キャンプを前に、来季のレギュラーは主力を含め白紙であることを強調。今季4位で終わった事実から目を背けることなく、言葉をつないだ。
「今年、結果が出た選手も、来年はまた横一線からのスタートになる。それは今の(キャンプ)メンバーじゃなく、全体を集めた時に、全員に言っている。“来年は、横一線だよ”と」
9月4日まで首位に立っていたが同月は5勝20敗と大失速。2年ぶりのBクラスに甘んじた。巻き返しを期す25年シーズンへ向け、今秋キャンプでは例年よりも実戦機会を増やし、各選手のレベルアップを図る。
昨年は13日間で7試合だったのに対し、今年は練習を行う14日間で9試合を設定した。5日には侍ジャパンとの強化試合を予定しており、10、13日には西武との対外試合。紅白戦も6試合行う。その意図について指揮官は「実戦をこなしていく中で今、自分が向き合っている課題がどういう状況にあるのかを把握してもらいたい」と説明した。キャンプ前には各選手にリポートを提出させ、首脳陣も各選手の課題を共有。実戦を通して課題を見つめ直し、技術の向上につなげる構えだ。
矢野は遊撃のレギュラーとして自己最多の137試合に出場。打率・260もキャリアハイだが新井監督はさらなる成長を求めた。
「彼の場合、守備は周りが認めるところ。バッティングも今年すごく成長したけど、やっぱり継続して結果を出すためには、相手も研究してくるし、打つ方を(秋季キャンプで)やってもらいたい」
もちろん、矢野自身が現状を理解している。遊撃の定位置を再び手にするためには、打力の向上が必須。指揮官が発した言葉に、当然のごとく呼応した。
「2週間ちょっとだが、たくさん練習して、力がついたなと自分自身で思えるようなキャンプにしたい。バッティングで今年できなかったことがある。そこは実戦で試したい」
今秋は脱力してスイングすることに注力。新たな技術を身につけ、不動のレギュラーを目指す。(長谷川 凡記)