プロボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31=大橋)が4日、サウジアラビア・リヤドで同国政府主導のエンターテイメントイベント『リヤド・シーズン』と総額30億円(推定)のスポンサー契約を締結した。
モンスターが前代未聞の歴史的な契約を勝ち取った。2日深夜にプライベートジェットで現地入りした井上はこの日、所属ジムの大橋秀行会長(59)とサウジアラビア娯楽総局トゥルキ・アル=シェイク長官の元を訪れ、「リヤド・シーズン」とのスポンサー契約を締結。調印式を終えた井上は「キャリア後半に差し掛かってくる中で、モチベーションとなる契約ができた。非常に楽しみな契約」と歴史的契約に胸を高鳴らせた。
「リヤド・シーズン」は19年から開催される、サウジアラビア政府が主催するエンターテイメントとスポーツの祭典で、スポーツ・コンサート・展示会などの多彩なイベントを通じて、国内外の産業を活性化させることを目的としている。25年に日本との外交関係70周年を記念して、節目にビッグオファーを提示したトゥルキ長官は「井上はオールタイムでベストの最高な選手。その井上とともに歴史をつくるため、アンバサダーに就任してもらった」と笑顔。大のボクシングファンを公言し、史上初の2階級4団体統一王者テレンス・クロフォード(37=米国)らと大型契約を結んできた同氏がついにモンスターを射止めた。
井上は同イベントのアンバサダーに就任し、12月24日に予定されているサム・グッドマン(25=オーストラリア)との防衛戦から、トランクスのベルト部分に同イベントロゴをつけて試合を行う。「トランクスのロゴが変わるからといって僕のボクシングそのものが変わるわけではない。そこは自分自身のボクシングを貫いていきたい」と話した。
トゥルキ長官は井上にボクシングだけでなく、SNSなどを通じては同イベントの広告塔としての働きを期待する。「詳細については、今発表することはしない。井上さんサイドから完璧なタイミングを見計らってアナウンスされる。とてつもなく大きなサプライズで、これまであったものとは全く別物になる」とビッグプロジェクトも予感させた。
今回の契約はサウジアラビアでの試合が確約されたものではないが、同長官は「サウジアラビアでビッグファイトをすること」とモンスターのサウジ上陸も期待する。来年、米ラスベガスで試合を行う構想も明かしている井上は「今年は試合が決まっているし、来年どうなるかは分からない」としながら、「タイミングによってサウジアラビアで試合をができれば。日本でやってきたパフォーマンスを出して、その期待に応えやるだけ」と数々のビッグマッチを実現させている同国での試合に興味を示した。