【SHO is the CHAMPION】ドジャース・大谷の世界一への道のりをさまざまな人物や角度から振り返る連載「SHO is the CHAMPION」。第5回は、ワールドシリーズ(WS)第2戦で左肩を亜脱臼した後、強行出場した第3~5戦で左肩に装着したウエアラブルギア「Venom 2 Shoulder」について。大谷を救った最新ギアの秘密に迫る。(取材=柳原 直之)
ヤンキースタジアムで行われた10月28日のWS第3戦は、気温11度まで冷え込んだ。試合前セレモニーのスタメン発表。4万9368人の敵地ファンから大ブーイングを浴びて登場した大谷は、グラウンドコートの下に黒いサポーターのようなものを着けていた。
「最初は試合中もずっと温めて冷やさないようにすることが大事と言われていた。試合中もずっと温めるような“機械”を着けて、イニング間も基本的に着けて過ごし、セレモニーも同じように温めるようにしていた」
この“機械”は、Hyperice社製の「Venom 2 Shoulder」。手元で調節できる3段階の温度調節と、3段階の振動パターンの組み合わせが可能で、同社の日本総代理店「アルコインターナショナル」の担当者は「ウオームアップの強化や筋肉痛の軽減、可動域の拡大をサポートします」と効果を説明した。
大谷はベンチでの待機時など、打席に立つ時以外はこの“機械”を着けて準備し、フル出場。第4戦は負傷後初安打を放ち、第5戦も装着し続け、WS制覇に貢献した。大谷はエンゼルス時代に同社製の別の着圧機器を愛用していることを明かしており、過去にド軍も同社製品をチーム単位で購入していた。
NFLチーフスの現役最強QBパトリック・マホームズ、米男子ゴルフツアー通算26勝のロリー・マキロイら各競技のトップアスリートもウオームアップやリカバリー目的で同製品を使用する。大谷はWS制覇後の中継局のインタビューで「ケガした直後はもうシリーズ(の出場が)“無理”かなと思った」と明かしている。
“無理”な状態から出場が実現。医師やトレーナーの懸命な処置、チームメートの励ましに加え、最新機器も大きな力となった。