「漂流教室」「まことちゃん」などで独自の作風を築き、恐怖漫画のジャンルを確立した漫画家の楳図かずお(うめず・かずお=本名楳図一雄)さんが10月28日に死去したことが5日、分かった。88歳。胃がんを患っていたといい、施設で療養中だった。
独自の世界を作り上げた、日本を代表する漫画家の訃報に、芸能界からも追悼の声が続出した。
楳図さんの大ファンで、自身の芸名を楳図さんの代表作「漂流教室」から取り入れるなど親交のあったタレント・中川翔子がX(旧ツイッター)で「大好きな大尊敬する本当の神様 楳図かずお先生 もうお会いできないなんて信じられないです」と投稿した。
中川は過去に芸能界を辞めようと思っていた時期に楳図さんと偶然対面し、「最後に“またね!”って言ってくださって、その3文字に救われて。“辞めなければまた会えるかもしれない!”って思って(頑張った)」と、楳図さんの存在が芸能活動を続ける理由だと明かしていた。この日、「楳図かずお先生があの日 またね!と声をかけてくださったから私はあの時仕事をやめなかった」と振り返り、「翔子という名前の文字も 大好きな漂流教室の翔ちゃんからいただきました」と告白。「わたしの人生は楳図かずお先生のおかげで今があります」と感謝を伝えた。
個展を訪れるなど、楳図さん作品のファンのお笑いタレントなだぎ武は、楳図さんと番組共演歴もある。「昔番組でご一緒させていただいた時に、楳図作品で大好きな『洗礼』をモチーフに私の似顔絵を描いてくださった…」と、楳図さん自筆の似顔絵を披露。「実際お話するとすごく気さくで奇抜で優しいお方でした…」と、その優しい人柄をしのんだ。
シンガー・ソングライターのイルカ(73)も「漫画家楳図かずお先生の御冥福をお祈りしています」と哀悼の意を示した。かつて「まことちゃん」の楽曲を制作したことで接点がある。「初めてお会いしたのは50年位前『女友』での対談。『へび少女』とは真逆の優しい方で直ぐに仲良しになり『まことちゃん』の歌も一緒に作りました。『漂流教室』『イアラ』は永遠の名作です。夫が亡くなった年にふと現れこの絵を描いて下さいました」と、楳図さんとの交流を振り返っていた。
ミュージシャンの近田春夫は、楳図さんと対談した際のツーショット画像を披露した。最後に会ったのは都内での個展だったといい、「その前には音楽の話やらなにやらで、楽しいひとときを過ごした日もありました」と回想。「お元気だとばかり思っていたので、まだ気持ちの整理がつきません。寂しいです。どうか安らかにおやすみください」と寂しさをつづった。
俳優でロックバンド「グループ魂」のメンバーでもある三宅弘城は、「楳図先生、吉祥寺で先生のお姿を拝見することはもうできないのですね。とてもさびしいです。どうか安らかにお眠りください。ご冥福をお祈りいたします」と追悼。。バンドのアルバム収録曲に「楳図かずお」という楽曲があると明かし、「『楳図かずお』グループ魂 是非聴いてくださいませ」と呼びかけた。
個性的なキャラクターでも知られた楳図さん。バス旅シリーズに出演した蛭子能収や、「まじかる☆タルるートくん」などの代表作がある江川達也氏、「だめんず・うぉ~か~」の作者でテレビのコメンテーターも務める倉田真由美さんら、タレント活動をする漫画家のさきがけでもあった。SNSには「漫画家でありアーティストだし、タレントとしてもテレビで活躍されたのは大きな貢献だった」「漫画家兼マルチタレントの始祖みたいな存在だったかも」「個性的なキャラクターでタレント活動もされていた才能に溢れた方でした」と、残念がる声が上がっていた。