明大は5日、明大野球部の田中武宏監督(63)の退任と戸塚俊美助監督(60)の監督就任を発表した。田中監督は4日、法大戦で全日程を終了後の会見で退任を明らかにしていた。
9年のコーチ生活を経て20年から監督に就任した。コーチ時代は善波達也監督(当時)に「手伝ってください」という熱意に引き受けたが、自宅の神戸から週末に神宮に通う生活。会社の仕事を抱えながらのコーチ業だった。時には九州で仕事を終え土曜の朝一番の飛行機に乗って試合中にベンチ入りすることもあった。オフには近畿・中国・四国を中心に高校野球巡り。強豪校の監督とパイプを作りスカウティングでも大きな功績を残した。
監督就任後、いきなりコロナ禍が襲った。1年生の入寮を控えさせ、コロナ感染していない下級生は実家に帰した。練習はほとんどできず、コロナに感染した選手が出ればホテルや寮を隔離病棟にして感染対策。「本当に野球どころじゃなかった」と頭を悩ませた。同年春のリーグ戦は5試合制で8月に開催され5位。同年秋、翌年の春、秋とも10試合のポイント制。優勝には届かず苦しい4シーズンとなった。
22年は本来の勝ち点制に戻り粘りの明大が復活。翌年春まで戦後初の3連覇を達成。22年秋の明治神宮大会を制し日本一も達成した。
明大時代は島岡吉郎監督の薫陶を受け、練習態度や言動に浮かれたものが見えたらレギュラークラスでもベンチから外した。5年間、選手とともに寮で寝食をともにし、厳しくも暖かな指導を貫いた。まだ早大との優勝決定戦の可能性もあり練習の陣頭指揮に立つ。「(決定戦を)やるつもりで準備させます」と闘志は衰えていなかった。
≪次期監督の戸塚助監督、スタミナは「怪物級」≫次期監督に就任する戸塚俊美助監督は明大中野から明大に進学し4年時は主将を務め秋に優勝を経験。現役時代はサイクル安打も記録した。社会人の神戸製鋼に入社して活躍、4年間同社の監督も経験、審判としても活躍し甲子園大会の主審も務めた。田中監督とともに助監督に就任。夏の猛暑の中でも打撃投手やノックをこなし「戸塚のスタミナは怪物級です」と1学年上の福王コーチは頭を下げる。田中監督とともに寮で生活、選手の生活指導も行っている。愛情込めたノックには定評があり、選手と一緒に汗を流す監督になりそうだ。