日本バスケットボール協会と契約を延長した男子日本代表のトム・ホーバス監督(57)が5日、都内で会見を開き、28年ロサンゼルス五輪の8強を目標に掲げた。同席した三屋裕子会長(66)からもロス五輪を視野に入れた続投であることを明言された。NBAグリズリーズの河村勇輝(23)らとともに、パリ五輪で果たせなかったターゲットに突き進む。21日のアジア杯予選モンゴル戦(日環アリーナ栃木)が五輪後の初采配となる。
充電期間を終えたホーバス監督が表情を引き締めた。日本代表監督史上最長となる28年ロス五輪までの指揮を託され「ロスでベスト8に入りたい。新しいチャレンジが楽しみ」と視線を上げた。パリ五輪直後に正式な続投要請を受けたが、約1カ月半はバスケのことを一切考えず、米国で家族、孫らとリフレッシュ。パリ五輪代表全選手との電話会談を経て受諾を決断し、10月25日に協会側に連絡を入れた。
8強を目標に掲げたパリ五輪は3戦全敗に終わったが、準優勝した開催国フランスと延長にもつれる激戦を演じるなど善戦した。3点シュート成功率39・3%は出場12カ国中3位。一方で、2点シュート成功率39%は最下位に沈んだ。ホーバス監督は「日本のバスケは面白い」と速い展開から3点シュートを多投するスタイルを継続する方針を示した上で「ペイントタッチ(ゴール下のエリアに進入すること)からの確率が低かった」と課題を挙げた。
目標達成へ、鍵を握るのがグリズリーズの河村だ。身長1メートル73の司令塔が世界最高峰リーグのゴール下のプレッシャーをかいくぐるすべを身につけることが2点シュート成功率アップの近道。八村を含めたNBA組はW杯や五輪など世界大会しか招集できない可能性が高いが、指揮官は「NBAにいると絶対にうまくなる。彼が日本に戻ってくる時が楽しみ。チームは絶対に強くなる」と期待した。
「世界は近い。少しずつうまくなって、4年後どこまでいけるか楽しみ」。パリでの忘れ物を取りにいく4年間の旅が幕を開けた。 (木本 新也)
《比江島、富樫とは活動方針話し合う》 ホーバス監督はモンゴル戦に向けた合宿で34歳の比江島と31歳の富樫のベテランコンビと今後の代表活動参加に関する話し合いを持つ方針を示した。「ロスまでいけるか分からないが、彼らの経験は必要。そういう気持ちがあるかどうか、詳しく話したい」。当面はパリ五輪と新戦力をミックスしたメンバー構成で合宿や試合に臨む方針。新戦力に速やかに戦術を浸透させるためにも、ホーバス監督のバスケを熟知する2人の力は不可欠だ。