大相撲九州場所(10日初日、福岡国際センター)で新入幕を果たしたウクライナ出身の獅司(27=雷部屋)が6日、福岡市西区の二所ノ関部屋に出向き、十両・白熊(25=二所ノ関部屋)らと連続17番取って14勝3敗と気を吐いた。仕上げのぶつかり稽古では二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の胸を借り、キャッチフレーズの「うれシシです」で感謝の思いを表現。収穫十分の出稽古で大暴れの予感を漂わせた。
17番連続で取って息も絶え絶え、スタミナも残っていなかった。それでも獅司は低い重心で構える二所ノ関親方の胸にぶつかっていった。最後の力を振り絞って足を懸命に前に出して押すこと2分半。横綱・稀勢の里を体感したウクライナ力士のパイオニアは「重かった。胸を出してもらって、うれシシです」とおなじみの決めゼリフで感謝した。稽古後、二所ノ関親方には「強いよ」と賛辞を贈られた。
この日は大関・大の里が疲労回復のため相撲を取らず、前日(5日)と同じく十両・白熊、幕下・花の海と申し合い。脇の甘さを解消するために左を固めることを徹底し、立ち合いからの圧力を強化。白熊とは右四つに組んでも力比べで圧倒し「まわしを取って前に出られた。(2日間)いい稽古ができた」と胸を張った。日頃の鍛錬も実って太腿は丸太のような厚みが増している。
新入幕で迎える納めの場所。幕内初勝利の中継インタビューの第一声は「うれシシです」と決めている。 (黒田 健司郎)
《再入幕尊富士「変わらない」》 3場所ぶりに再入幕の尊富士は、福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋で幕内・熱海富士らと9番取って4勝5敗だった。幕内の土俵は110年ぶりの新入幕優勝を遂げた春場所以来。「何も変わらない。どの地位でもやることをやるだけ」と話す。福岡入り前はてっぽうを1日1000回こなすなど基礎運動を徹底し、故障防止への意識も高めてきた。九州場所へ「やってきたことを出すだけです」と意気込んでいた。