阪神は6日、岡田彰布前監督(66)が新設ポスト「オーナー付顧問」に就任したと発表した。契約期間は3年で、チームに対してさまざまな角度からアドバイスを送る。高知県安芸市で開催中の秋季キャンプも視察する。大阪市内で記者会見した岡田顧問は、藤川球児新監督(44)へ、V奪回への3大心得を説いた。
歯に衣着せぬ発言にユーモアを交える。岡田前監督の「オーナー付顧問」としての第一声は、らしさ全開だった。もちろん、藤川監督へのメッセージも忘れない。高知県安芸市で開催中の秋季キャンプを「新聞とか、そんなんは見てる」と把握した上で、阪神監督の帝王学を3つ唱えた。
一つ目は、将たるもの一喜一憂すべからず――。11月は選手の力量を評価をする時期ではないとして、「(選手の力を)判断するのはまだまだ先やから。もっと長い目で見た方がええ。今日は良くて明日はあかんとか、そんなんの繰り返しやから。練習で一喜一憂する必要がないというか」と説いた。
二つ目は、将たるもの成り行きに身を任すべからず――。日本一になったDeNAのようなシーズン中に伸びるチームを目指すのは理想ではない。「選手も首脳陣もある程度いけるという確信を持ってスタートをするのが一番と思う。そういうムードを持ってスタートをさせなあかん」と地力強化を訴えた。
三つ目は、将たるもの、俺に気を使うべからず――。23年日本一のチームを引き継ぐとはいえ「(好きにやったらいいかと聞かれ)そんなん当たり前やんか。自分のチームやねんから」と藤川流のアレンジを求めた。
契約期間は、藤川監督と同じ3年で、その間は「(藤川監督が)初めてやから、相談とか分からんことがあると思うから。(監督として)2年間見てきて、選手に対してアドバイスはできるし」と助言を送る構え。早ければ、7日からの秋季キャンプ第2クール中に訪問予定。現役時代に抑えとしての適性を見出して「JFK」として世に送り出した教え子を、全面的にバックアップする。
公の場で話すのは、クライマックスシリーズ・ファーストステージでの敗退が決まった10月13日以来。当時抱えた体調不安説を、自らのトークで一蹴した。顧問として選手指導の有無を聞かれると「しないしない。指導料はもらってないもん。口代はもらってるけど」と笑い、秋季キャンプで3度予定されている紅白戦には「秋に紅白戦なんか全然、意味ないと思うけどな」とバッサリ切った。顧問の辞書には遠慮の文字はない。藤川阪神に良い意味での刺激をもたらしそうだ。(倉世古 洋平)
【粟井球団社長も多岐にわたる目くばせ期待】T…粟井球団社長は、岡田オーナー付顧問の業務内容を「基本的には野球全般の助言をいただく。自由に動いていただきたい」と説明した。キャンプ訪問、公式戦のチェック、相手球団の視察だけでなく、トレード、ドラフトなどでも必要に応じ助言を求める。そのために「顧問」を新設したといい、「仕事を限定したくない」と多岐にわたる目くばせを期待した。ただし決定権はなく、GMとは異なることを強調した。評論活動も認め「厳しい解説は顧問の持ち味。選手もそれで発憤してくれたら」と“岡田節”を期待した。