秋季高校野球の東京都大会決勝が7日、神宮球場で行われ、二松学舎大付が早実に延長12回タイブレークの末に6―5で勝利。1死満塁から根本千太郎内野手(1年)がサヨナラのスクイズを決めた。03年以来、21年ぶり3度目の優勝で来春選抜出場を当確させるとともに、東京代表として20日に開幕する明治神宮大会への出場も決定。秋季大会は10地区で全日程が終了した。
異例の午後4時32分試合開始となった東京大会決勝。全国各地で開催された秋季高校野球の決勝は、昼のデーゲームで行われることが一般的だが、この日の神宮はプレーボールのタイミングから照明が全灯されていた。照明の影響を受けないためにサングラスを着用してプレーする選手もいた。
なぜ1試合だけの決勝がナイターで開催されたのか。大会関係者に取材すると(1)大学野球の日程との兼ね合い。(2)観客への考慮、と2つの理由が明らかになった。
(1)大学野球の日程との兼ね合い
神宮球場はプロ野球、社会人野球、大学野球、高校野球など多くのカテゴリーの試合が開催されており、9日の土曜からは東京六大学野球リーグの早慶戦が予定されている。同リーグは2戦先勝方式の勝ち点制で1勝1敗になれば3戦目は月曜となる。多くの来場者が予想される東京決勝を3万人超が収容できる神宮で開催するため平日に行うことが決定された。
(2)観客への考慮
(1)のため平日開催。通常通り昼にプレーボールとなれば授業のある生徒による応援団、仕事のある選手の保護者の来場が難しくなる。より多くの観客が観戦できるための配慮として午後4時30分開始となった。
夜空の下、繰り広げられた熱戦。当時者はどうだったのだろうか。試合後、優勝した二松学舎大付の市原勝人監督にナイター開催について意見を聞いた。
「なんか特別感がありましたね。(試合前に神宮球場で)バッティング練習もできましたのでプロ野球みたいだなと。寒ささえなれれば意外と良いですね。勝ったからなおさらのこと。(昼より暗いナイターで)バットは湿りがちになると思うので、こういうときは守れないといけないなという感じがします」
延長12回の激闘で秋季大会の幕を閉じた東京大会。照明の下、新たなドラマが刻まれた。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)