日本相撲協会は8日、九州場所(10日初日、福岡国際センター)の取組編成会議を開き、所要9場所のスピードで昇進した新大関・大の里(24=二所ノ関部屋)は初日に平戸海、2日目に王鵬と対戦が決まった。横綱・照ノ富士(32=伊勢ケ浜部屋)は2場所連続で初日から休場となったが、角界期待の大器は28年ぶりにチケットが完売した九州で06年夏場所の白鵬以来18年ぶりとなる新大関Vを目指す。
激動の2024年。春に金沢から福井まで延伸した北陸新幹線ばりの猛スピードで駆け抜けようとしている大の里が決意を示した。
「一年の最後でもあり、大関として臨む初めての場所。いい形で締めくくりたい」
秋巡業を体調不良で途中離脱し調整遅れが心配されたが、大関・琴桜、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)と三番稽古をこなすなど自らを追い込んだ。この日は福岡市西区の二所ノ関部屋で基礎運動中心のメニューを消化。場所で使用する青の締め込みを体に慣らし「体調面は不安要素があったが、実のある稽古ができた」と満足そうに話した。
稽古後は二所ノ関部屋とパートナーシップを結ぶアイ工務店(本社・大阪市)から化粧まわしを贈られた。昇進伝達式の口上で述べた「唯一無二」の文字が刺しゅうされ、「想像していなかった。自分の決意を刻んでもらえてうれしい。しっかり結果を残して恩返ししたい」と述べた。
秋場所は初日の熱海富士戦を薄氷の勝利で拾うと11連勝と勢いに乗り2度目の優勝に結びつけたが、名古屋場所は初日から連敗して9勝止まり。場所を大きく左右する「大関初陣」は同じ2000年生まれの平戸海との対戦が組まれた。28年ぶりにチケットが完売した地元の大声援を味方にできる平戸海とは過去2勝2敗と五分。「相手どうこうというより、自分のやるべきことをしっかりやっていきたい」と冷静に言い聞かせた。
新大関場所での優勝は、06年夏場所の白鵬を最後に双葉山や栃東ら昭和以降6人しかいない。幸先のいい一歩を踏み出せれば、大の里の名前がまた歴史に刻まれそうだ。