将棋の藤井聡太王将(22)=7冠=が9日、東京都渋谷区の新将棋会館で行われた記念対局で国際将棋トーナメント優勝者の中国代表・許諾さん(32)と対戦した。3年前の同トーナメントでも藤井は記念対局に臨んだが、新型コロナ渦中とあってリモートでの開催。海外プレーヤーとの直接対面に加え、新会館での対局も初とあり注目された角落ちの一局は、危なげない完勝だった。
対局後に藤井は「今日は凄く楽しみにしていた。(許諾さんと)実際に対局して、序盤からしっかり指されるなと感じた。将棋は盤上でのコミュニケーションという側面もあり、その魅力もあらためて強く実感しした」と初の体験を振り返りった。8、9日に都内で開催された同トーナメントには海外から50人以上の強豪が参加。「私自身、熱気を感じたし、それぞれの国々でこれからも将棋を楽しんでもらえたらうれしい」と異国のプレーヤーにエールも送った。
自らが将棋の国際普及に果たす役割については「英語は残念ながら上達していないが、今日のようにこの場に来て、少しずつ(意思疎通の)力を付ければ活動の幅も広がるのでは」と話した。
藤井との記念対局で見せ場なく敗れた許諾さんは北京でチェス講師を務めている。将棋歴は12年。ネット対局ではアマ五段の実力があり、昨年は中国の全国大会で優勝したという。「藤井さんは中国で“神”と呼ばれている。対局はとても緊張した」と笑顔で振り返っていた。