元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(55)が10日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」(日曜前7・30)に出演。大分市の県道で2021年2月に時速194キロで車を運転して死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた被告の男(23)=同市=の裁判員裁判について言及した。
裁判員裁判は5日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で初公判があり、被告側は「危険運転致死罪に当たらない。過失運転致死罪を適用するべきだ」と争う方針を示した。
公判の最大の争点は、法定刑が最長懲役20年の危険運転致死罪が成立するかどうか。判決は28日。
橋下氏は「裁判所にも民意を反映させる必要があるんです」と指摘。「時速194キロで走っていて危険ではないんですかね?」と疑問を呈し、「法律の解釈の仕方としては、裁判所の考え方、言い分は分かります。これまでの解釈を前提にすると、速度だけではなくて、その時の運転状況を見なければいけない。それは分かるんですけれども、一般の感覚からズレていると思う」と自身の思いを述べた。
そして、「一般の感覚と判決がズレていることって結構あると思うんですよ」と言い、ネットでの誹謗中傷は名誉棄損となったとしても慰謝料が多くても30~50万円などの例を挙げた。そのうえで「裁判官は選挙で選ばれません。民意で左右されてはいけないのでね。でも裁判所でも民意を反映させる方法があり、1つは内閣が最高裁の裁判官を任命する。選挙で選ばれた国会議員が内閣をつくって、内閣が最高裁の裁判官を選ぶ。この方法と、先日の衆院選で最高裁の裁判官の国民審査」と説明。
国民審査について「ダメだと思ったらペケをつける。中身についてよく分からないでも今の裁判所を見て、判決が国民の感覚からズレてると思えば、最高裁の裁判官の名前にペケをつければいいんです」とし、「今回、そのペケがついた率が上がりました。同性婚とか選択的夫婦別姓とかの判決に対し、国民が不満を抱いている。こういう形で僕は裁判所でも民意を反映する必要があると思っている」と自身の考えを述べた。
ここでフジテレビ政治部長で解説委員の松山俊行氏が「今回の危険運転致死か過失運転かについては、その間で量刑がかなり違うので、その中間地点のまた罰の容疑というのがあってもいいのではという意見もあります」と話すと、橋下氏は「これも法律もしっかりつくり直さないといけないと思いますね。裁判所の解釈がきちっと国民の感覚に合うような法律をつくるのも国会議員の仕事です」と述べていた。