国民民主党の玉木雄一郎代表(55)が10日、テレビ朝日系「有働タイムズ」(日曜後8・56)に生出演し、年収103万円の壁の引き上げの意義について説明した。
10月の衆院選で28議席獲得と躍進した国民。玉木氏は、年収の控除を超える額に課税され、税制上の扶養からも外れるボーダーライン「103万円の壁」を、178万円まで引き上げることを訴えている。賛成しなければ、自公の進める法案可決に賛成しない方針で、一躍キャスティングボートを握る存在となった。11日にも石破茂首相と会談し、実現を訴えていく方針を示している。一方、国の試算では、引き上げで税収が7、8兆円減る見込みで、引き上げ幅を抑えようとする動きも見え隠れする。
年収の壁引き上げの意義について、玉木氏はまず税金計算の際の基礎控除に言及した。「もともと基礎控除というのは、憲法25条の生存権を保障するためにできていて、過去も70年代、80年代は物価上昇に合わせて基礎控除を上げていったんです」。さらに「生きるコストをまかなう最低限の所得には税は取らないということなので、インフレに合わせて上げないと、生きるコストに上げていくことが憲法の要請する制度的な要求なんです」と、憲法が保障する権利だとした。
ところが、95年で基礎控除の引き上げは止まった状態。この30年で手取りが上がらない中、ここ数年の物価高、エネルギー高で国民生活は窮地に追いやられた。玉木氏は「財源があるからする、ないからしないじゃなくて、みんなが生きていくために必要なことをちゃんとしましょう、デフレからインフレに変わったんだからきちんとやりましょうということで、まず取り組むことが必要」と訴えた。
103万円の壁を引き上げ、年末時期の働き控えが減ることによって、大きなメリットもあるという。「働き控えがなくなると、せっかく年末に忙しくて稼げるのに、わざわざ店を閉めたり、営業時間を短くしたりするところを、需要に応じて開けるようになる。難しい言葉で言うと、“供給制約”がなくなって、労働供給がもっと増えて、経済が発展する」と説明。「企業業績も上がるので、法人税も、消費税も、所得税も増える。トータルで勘案しないと、ただ減るからやめようというと、デフレから抜けられないと思う」とも述べた。
増収分については、党内で試算をしているとしながら、「財務省からの最新データを出していただきながら、まさにそういった議論を与野党で議論していくことが、新しい衆院選後の国会のあり方だと思う」と考えを述べた。