国民民主党の玉木雄一郎代表(55)が10日、テレビ朝日系「有働タイムズ」(日曜後8・56)に生出演し、党の掲げるエネルギー政策について語った。
玉木氏は19年3月、自身のSNSで「原発に依存しない社会を一日も早く実現するためには、廃炉も含め現実的な道筋を示していかなくてはなりません」とつづっていたが、現在は原発の積極活用という立場を示している。
この方針転換について理由を聞かれると、「2022年2月のロシアのウクライナ侵攻が非常に大きいと思いますね。世界の安全保障環境が激変しています」と答えた。その上で「エネルギーの自給率をどう高めていくのか。私たちは再エネ(再生エネルギー)ですか?原発ですか?という二者択一は取らなくて、2つを足しても12%くらいの自給率しかなくて、我々は再エネも原発もやらないと」と、危機感を募らせた。
生成AIの発達により、データセンターの電力消費量が激増したことも、エネルギー計画の変更を余儀なくされた利用だという。「今まで需要は減るという前提でエネルギー基本計画を作ってきたけど、これからは増えていくので、その中でいかに安価で安定的な電力供給をするのか。それを自国でどれくらいまかなえるのかということを、真剣に考えなければいけなくなった」とし、「我々は原発をなくしていくということではなくて、あらゆる電力を活用していくということに舵を切った」と述べた。
今回の衆院選で、原発のリプレース(建て替え)や新増設まで触れて戦ったのは国民だけ。「Rapidusが北海道にできて、TSMCが九州にできて、電気代が全然違うんです。原発がある程度、稼働して安くて安定的な電力供給がないと、これから半導体ビジネスとか、データセンタービジネスもできない」と指摘し、「安い電力がないところでは賃上げができない」と、経済への影響も付け加えた。
原発稼働で懸念される安全面については「両方やるべきだと思う。廃炉は進めていくのと、安全をしっかり満たしていくこと」と提案。「世界の原子力の技術ってどんどん新しいものに変わっていっている。そういう技術を持っていかないと」とも訴えた。
17年以降、世界で建設された32の原発のうち、27はロシア、中国国内。玉木氏は「ロシアがウクライナに侵攻して、ロシアに原油を頼らないようにしようと。だから原発を動かしましたけど、早晩、原子力すらロシアと中国に頼らざるを得ない未来が見えている」と、将来のエネルギー不足を予測していた。