このままでは終わらない――。日本ハムは10日、本拠地エスコンフィールドで行ってきた秋季キャンプを打ち上げ、野村佑希内野手(24)がファンを交えた一丁締めの音頭を取った。今オフは背水の覚悟で、打撃フォームの改造に着手する。今季は開幕スタメンを勝ち取るも、不振で2軍のままシーズンを終了。今月中にも千葉県内のトレーニング施設で動作解析を行う予定で、プロ7年目となる来季の逆襲を誓った。
秋季キャンプ最終日恒例の手締め。今回は抽選に当たったファンも並んだ。通常は選手会長の松本剛があいさつするが、円陣の中央に立ったのは野村だった。「皆さまのおかげで充実したキャンプを過ごすことができました。来年はリーグ優勝、日本一になるために一人一人が自覚を持ち、シーズンオフを過ごしていきましょう」と、自らに言い聞かせるように締めた。
悔しいシーズンだった。開幕スタメンを勝ち取るも、好調を維持できずに3度の2軍降格を経験。ポストシーズンは1軍から声が掛からず「結果を出さないと、このチームでプレーできなくなる」。強い危機感を抱いたからこそ「何かをガッと変えないといけない」と、今オフは初めて動作解析に着手する。
「興味は持ってました。でも3、4年目に数字がある程度残ってしまったのでスイングを変える怖さがあった」と振り返る。それでも今季は56試合の出場で打率・210、自己ワースト2本塁打に終わり「今年結果が出なかったら行ってみようと思っていた。このままじゃダメだと分かっているので」と、フォーム改造も辞さない覚悟を口にした。
今月中にも関東のトレーニング施設で打撃フォームを見直していく。最先端の機器でスポーツ科学に基づいた分析を行うことで野村は「数値として出せるし、何ができていて何が弱いかもはっきりと分かる。そういう部分で効率化というか、より良いスイングをまずは身につけて、しっかりと打てる状態をつくり上げていきたい」と狙いを明かした。
ポジションにはこだわらない。三塁は清宮と郡司、左翼は水谷、浅間、矢沢、今川、DHはレイエス、マルティネスらがライバルとなる。野村は「最終的にはサードでレギュラーとして出たい思いはあるが、まずはどこでも試合に出られる準備をしてキャンプを迎えたい」と、貪欲に出場機会を狙っていく。
昨季は万波がリーグトップと1本差の25本塁打、今季は清宮が規定未到達ながら打率・300と覚醒した。ミドルネームのジェームスから「ジェイ」の愛称を持つ野村は言う。「危機感を持ってやりたい」。悲願の日本一へ、「MJKトリオ」の「J」の覚醒が不可欠となる。(清藤 駿太)