早くも米国は「朗希狂騒曲」だ。大リーグ公式サイトは9日(日本時間10日)、ポスティングシステムでのメジャー移籍を目指すことが前日発表されたロッテ・佐々木朗希投手(23)についてトップ記事をはじめ特集記事を複数本掲載した。「獲得の有力候補は?契約の問題は金額だけじゃない」、「佐々木との契約プロセスについて知っておくべきこと」など、全30球団参戦の大争奪戦を予想。怪物右腕を巡る獲得競争が一気にヒートアップする。
待ちに待った怪物のメジャー挑戦に、米球界も一気に沸き立った。大リーグ公式サイトは佐々木について、トップ記事に続き関連記事を複数アップ。「世界最高の若手投手の一人がメジャーへ」などの見出しを並べ、23歳右腕への注目度の高さを示した。
同サイトのマーク・フェインサンド記者は「佐々木を獲得する最有力候補は?」との見出しで特集記事を掲載。「佐々木の(ポスティング容認の)ニュースはメジャーリーグ全体に衝撃と興奮を与え、各球団が23歳右腕の獲得について考え始めた」とし、匿名の球団幹部のコメントを使いながら移籍先候補を占った。
記事では「各球団がドジャースとパドレスが最有力候補と考えている」としつつ、ナ・リーグ球団幹部が「2チームによる競争ではない」、ア球団幹部が「東海岸では、メッツが最も勝つ可能性が高いと思う」と語ったと紹介。その上で移籍先候補として他にヤンキース、ブルージェイズ、レンジャーズ、カブス、ジャイアンツなどの球団名を挙げた。
契約金や年俸などの総額が制限されマイナー契約しか結べない「25歳ルール」の対象となるため30球団が争奪戦に参戦可能とも説明。「ただ単に高額の小切手を用意するのではなく、チームのことを売り込まないといけない」と金銭面以外でのアピールポイントが必要と指摘した。
前日球団を通じて「マイナー契約からはい上がって世界一の投手になれるように頑張ります」と決意のコメントを発した佐々木。代理人はダルビッシュ(パドレス)、山本(ドジャース)、鈴木(カブス)ら多数の日本選手や、グラスノー(ドジャース)らも担当する大手代理人事務所「ワッサーマン」のジョエル・ウルフ氏が務める。
ロッテは週明けからポスティングシステム申請への準備を開始し、締め切りの12月15日直前となる12月中旬までに手続きを完了させる予定。米球団との正式契約は来年1月15日以降となる見込みだ。交渉期間は45日間。FA市場最大の注目選手に躍り出た「令和の怪物」争奪戦を巡る狂騒曲がスタートした。
【契約の流れ】大リーグ公式サイトは、佐々木の今後の交渉の流れに関する説明記事も掲載した。25歳未満の海外選手がマイナー契約しか結べない「25歳ルール」の契約期間は、毎年1月15日~12月15日。翌16日から1月14日までは契約できない。ポスティングシステムの交渉期間は45日間で、佐々木の契約可能選手通知が12月1日以前なら、12月15日までに契約する必要がある。だが、通知が12月2~15日の場合は24、25年度の両方で契約が可能。各球団の24年度分の契約に使える総額は残りわずかだが、12月16日以降は翌年分として一度リセットされて総額上限が増えるため、1月15日以降の正式契約が得策とされる。