◇第103回全国高校サッカー選手権福岡大会 東福岡2-0東海大福岡(2024年11月10日 博多の森陸上競技場)
決勝が行われ、東福岡が2―0で東海大福岡を破り、3年ぶり23回目の優勝を飾った。12月28日に開幕する全国高校サッカー選手権大会に出場する。0―0の後半15分、FW伊波樹生(3年)の芸術的ミドルシュートが決まり、これが決勝点。昨年12月に就任した同校初のOB指揮官・平岡道浩監督(46)は1年目でチームを全国へ導き、9年ぶりの頂点を狙うと誓った。
赤い彗星(すいせい)が3年ぶりに選手権に戻ってくる。0―0の後半15分。MF塩崎響(3年)がペナルティーエリア外で相手DFを引きつけ、ヒールで背後へ。そこにいたのがFW伊波だった。冷静にDFをかわし、右足を振り抜く。約20メートルのミドルはゴール左隅に吸い込まれ、全国への扉が開かれた。
「あれは塩崎と(事前に)話してて(自分が)後ろにいると分かっていたので、落としてくれた。しっかり決められて良かった」
沖縄出身で東福岡へサッカー留学した期待のFWだったが、1年から腰痛に悩まされた。レギュラー定着は今年9月で背番号も20。ただ、入学後一度も経験していない選手権への思いは人一倍だ。0―0で折り返したハーフタイム。ロッカーでは「ここじゃ終われないぞ」と声を出した。高円宮杯U―18プレミアリーグ西地区では無得点など「“点を決めないFW”と言われてきたけど、選手権のためにとっておきました」とにやり笑った。
東福岡といえば圧倒的な両サイドの攻撃力が、伝統だった。ただ、この日の姿は少し、違う。昨年12月に就任した平岡監督は「手堅く、体を張れるチームをつくりたい。(東福岡は)3点取られても4点のチームだったけど、しっかりゼロでものにできるように」。今大会8強から登場し、3試合を無失点(12得点)と堅守が光った。指揮官が「不変」だと語るサイド攻撃と、泥くさい守備が調和した“シン東福岡”だ。
狙うのは15年度以来9年ぶり4度目となる全国制覇。「しっかり視野に入れながらやりたい」と平岡監督は意欲的に語っていた。
(福浦 健太郎)