「ラグザス presents 第3回プレミア12」に出場する侍ジャパンは10日、強化試合のチェコ戦(バンテリンドーム)に臨み、森下翔太外野手(24)が初回に左越え2ランを放った。「侍4番」の初打席を豪快なアーチで飾り、6回にも中前打。9―0の大勝による2連勝に貢献し、本番での大役に名乗りを上げた。1次ラウンドはA組がメキシコで先に開幕。B組の日本は13日にオーストラリアとの開幕戦(バンテリンドーム)を迎える。
どよめきと歓声が球場内を支配した。森下が侍4番デビューの晴れ舞台で早速の快音だ。前夜の6番から堂々昇格し、迎えた初回2死一塁。昨年3月のWBCで大谷(現ドジャース)から空振り三振を奪った電気技師・サトリアの111キロカーブにも軸はブレず、鮮やかにすくい上げた。
「どの打順を任されてもいける準備はできていた。4番は凄く光栄。自分の中では、いつも通りのプレーをしようと思っていた」
「(先制アーチは)非常に助かりました」と目尻を下げた井端監督は、起用の意図について「昨日は牧だったが(2試合のうち)どっちかに森下を入れてみたかった」と説明した。指揮官から課された「4番テスト」で、初打席に満点回答。充実の24歳は「うまく芯に当たって、バットに乗ってくれた。最高の結果」とうなずいた。
阪神の選手が日本代表の4番を託されるのは、08年北京五輪の新井貴浩以来、実に16年ぶりだ。初代表となった昨年11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」では打率・455でベストナインをつかみ、今季はプロ入り後初めて4番を打った8月13日の巨人戦でも初打席弾。大役を立派に果たし続ける若武者。井端監督は「コーチと相談しながら本番の打順を決めたい」と言葉に含みを持たせ、本戦での4番抜てきの可能性も示唆した。
「4番に立った時にチャンスが多いなら、しっかり打つだけ。あと何試合でも自分は準備できている」と森下。6回の第3打席でも中前打し、宮崎合宿の練習試合・広島戦からは3戦連続マルチ安打となった。13日開幕の決戦へ向け、既にエンジン全開。そのバットで世界の剛腕をなで斬りにする日が、刻一刻と近づいてきた。 (八木 勇磨)
○…森下の本塁打は15日に対戦する韓国代表の偵察部隊も驚かせた。バックネット裏からスコアラーとともに見守ったコンディション調整などを担当する李晋映(イ・ジンヨン)コーチは「変化球で重心が崩れないので長打力がある。変化球への対応がいい」と分析。韓国プロ野球で2125安打を誇り、金メダルを獲得した08年北京五輪でも活躍した同コーチに強烈な印象を焼き付けた。