◇侍ジャパン強化試合 日本9―0チェコ(2024年11月10日 バンテリンD)
予行は済んだ。2―0の7回無死一塁。侍ジャパン代走の日本ハム・五十幡は1ボールから左投手の右足がクロスしたのを見て確信して走った。ところが、まさかの一塁けん制。快足を飛ばして何とか二塁を陥れた。「完全にクロスしたと思って(スタートを)切ったので、走るだけだった。聞いてはいたけど、大会前に良い勉強になった」。ボークを取られにくい“国際基準”を、身をもって知った。
1球ストライクを挟んだ3球目には完璧な三盗。直後の源田の二ゴロで3点目の本塁に生還した。「盗塁も一つの役割ですけど、得点することがチームに求められていること」。走塁で流れを変えるジョーカーとして招集した井端監督は「あそこで勝負をかけにいけた」とうなずいた。
前回19年のプレミア12ではスーパーラウンドのオーストラリア戦で1点を追う7回に代走のソフトバンク・周東が二盗、三盗を決めて同点の生還。「二盗、三盗、周東」と話題を呼び、初優勝の立役者になった。
「ポスト周東」として期待され、「選んでいただいたからには自信を持ってやっていけたら」と鼻息は荒い。中学時代に陸上全国大会で「サニブラウンに勝った男」として有名。「隙があればどんどん狙っていきたい」。“枕ことば”ではなく、自らの名前を知らしめていくつもりだ。(小野寺 大)