優勝決定戦が行われ、早大が4―0で明大を下し、2季連続でリーグ最多を更新する48度目の優勝を飾った。中2日だった最速151キロのエース右腕・伊藤樹投手(3年)が、3安打9奪三振で完封勝利。2度目のベストナインにも選出された。明大とは76年ぶりの顔合わせとなった優勝決定戦を制し、9年ぶり13度目の明治神宮大会(20日開幕)出場を決めた。
高めの143キロ直球にバットが空を切ると、伊藤樹は振り返ってグラブを叩き、雄叫びを上げた。マウンドにできた歓喜の輪に、早大のエース番号「11」はすぐにのみ込まれた。
「この大一番でこれだけのピッチングができたことは凄く自信になりましたし、成長した点かなと思います」
明大との48年春以来76年ぶりの優勝決定戦。散発3安打で三塁を踏ませず、9三振を奪う完璧な投球だった。秋季リーグで2位の打率・400だった楽天のドラフト1位・宗山には「緩急を大事にした」と、カーブと直球の約40キロの球速差を駆使して3打数無安打で完勝した。
ジェットコースターのような4日間だった。勝てば優勝だった早慶戦で連敗。伊藤樹は9日の初戦で先発し、清原にソロを浴びるなど7回5失点でKOされた。今季リーグトップの6勝を挙げたが、唯一の1敗が明大との優勝決定戦までもつれ込むきっかけとなった。「こういう投球をしちゃうんだな」と自身に幻滅したが「もう一回チャンスはある」と切り替えてみせた最高の投球。小宮山悟監督は「これができるならば土曜(の慶大初戦)にやっとけよ」と冗談めかしたが「11番にふさわしい投手になった」と絶賛した。
15年春秋以来9年ぶりの2季連続優勝。20日開幕の明治神宮大会では、忘れ物を取りにいく。6月の全日本大学選手権では決勝で青学大に敗れて準優勝。「地獄と天国」を味わったエースがあと1勝で逃した日本一に挑む。(柳内 遼平)
≪楽天5位・吉納 大一番で3点演出「体壊れてもいいくらい」≫楽天からドラフト5位指名を受けた3番・吉納が、2安打1得点、1盗塁で優勝に貢献した。1―0の5回1死から右越え二塁打し、3安打2四球などでの一挙3得点を演出。今秋は2位タイの4本塁打も、打率.213と確実性を欠いていたが大一番で躍動し「勢いを止めていたのは自分だったので、体が壊れてもいいくらい振り絞りました」と話した。