◇WBSCプレミア12 1次ラウンドB組第1戦 日本9ー3豪州(2024年11月13日 バンテリンD)
侍ジャパンは13日、「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」の1次ラウンドB組初戦に臨み、オーストラリアに9―3で快勝した。先発した巨人の井上温大投手(23)が5回0/3を5安打2失点、8奪三振と力投。初の国際大会に臆せずチーム初戦の先発という大役を務め、白星発進に導いた。連覇を目指すチームは14日に移動し、15日からは台湾で1次ラウンドを戦っていく。
ただでさえ重圧のかかる初戦のマウンドで、いきなりの安打と何度も脱げる帽子。初の国際大会で想定外の事態に見舞われた井上は、自分のボールを投げ込むことで気持ちを落ち着かせた。
「初回が終わるまでは緊張したけど、それ以降は点を取ってもらったので楽に投げられた」
初回は10球目までに8度も帽子が脱げた。「一番小さいサイズなんですけど…。ピッチクロックもあるので、すぐかぶったりしないと、とか考えてました」と苦笑い。それでも、自慢の直球を軸に6回途中2失点で8三振を奪った。3回2死で迎えた全米ドラフト1番目指名のバザナにも真っ向勝負。カウント2―2から、この日最速の149キロを外角低めへ投げ込み、空振り三振を奪った。何度も帽子は脱げながら、相手打線に脱帽させた。
「対策ノート」が今季の飛躍につながった。巨人で先発に定着したのは交流戦期間中。打者の特徴や得意、不得意な球種、コースなどを書き出してスコアラーに提出するようになってからだ。「それがあるから冷静でいられる」。野球ゲームで打者の得意、不得意なコースが色分けされるように「ゲームだと得意なところが赤とかで出る」と脳内でイメージ。頭を整理して投げるようになった。
データの少ない相手打線に「もっとブンブン振ってくるかと思っていたが、変化球もしっかり止まっていた」と印象の違いを感じつつ、「投げる前に明確にしてから投げている。ちゃんと意思があるボールを投げられている」と迷いなく腕を振り大役を務め上げた。
井端監督は負けたら終わりのDeNAとのCSファイナルS第4戦で6回1失点と好投した姿を評価し、初戦先発に抜てきした。「普段と変わらず良い投球をしてくれた」とうなずいた。「大きな自信になったので次も頑張りたい」と井上。自信を手にした追加招集の若武者が、侍ジャパンに勢いを与えた。(小野寺 大)
≪強化試合含めると26連勝≫侍ジャパンは国際大会において、前回19年プレミア12のスーパーラウンド・メキシコ戦から、これで20連勝となった。なお、その間の強化試合でも海外代表チームには無敗で、国際試合には26連勝となった。