【インタビュー】9歳の長女の難病を公表し、発信を始めた女優星野真里(43)がスポニチアネックスのインタビューに応じた。新たに開設したインスタグラムにはスタートから2カ月で「温かい声ばかり」が寄せられている状況だという。前向きな内容の配信がされているが、ここまで来るまでに、長女と人知れず泣いた夜もあった。9年間語っていなかった家族と歩んだ日々、絆を聞いた。(鈴木 美香)
長女ふうかさんは、筋肉の構造に先天的な異常があり筋力が低下する国の指定難病「先天性ミオパチー」の一種「中心核ミオパチー」で、小学校の特別支援学級に通っている。インスタにアップしている写真は、電動車椅子に乗り、表情豊かにカメラに向かってポーズをとる姿。ふうかさん誕生から9年たった今、公表するまでにはさまざまな思いがあった。
「私自身が役者というイメージが付いてくるようなお仕事なので、果たしてどれほどの影響があるのか分からなかったですし、何かしら返ってきたものに自分が耐えられるのか不安もすごく大きくて、公表を悩んでいました。だけど、同じ病気かもしれないお子様のことを積極的に発信されている方もいらっしゃって、それが私の心の支えになっていました。そして、娘が大きくなるにつれて出会ったことのなかった職業の方々にもお世話になって、こんなに温かい世界があるということを伝えたいという気持ちが強くなりました。そして、提供できるものはまだまだ本当に少ないのですが、社会福祉士という資格を取得したことで、私たちがやる意味といいますか、せめてもの知識、情報をきちんと入れたいと思って現在発信しています」
ふうかさんが乗っている電動車椅子の説明や車椅子ユーザーがいる家庭の旅行の下調べポイント、小さい犬は可愛いけれど車椅子に乗っていると触ることができないなど、当事者だからこその情報や、家族での何気ないけれど、ほほえましいやり取りが記されている。
「私は心が弱いので、いろいろなサイトのコメントは見ていないのですが、インスタのコメントを見ると、温かいコメントであふれていて、娘も喜んでいますし、“うちもこういう病気で…”と書いて下さる方も多くて、そういう状況もあるんだねとか、親子の会話にもなっています。そして、インスタを通じて、私たち家族の見ている世界が広がっているという感じがしています」
家族でインスタを通じてさまざまな人々と交流できることを喜んでいるが、ここまで来るのに母娘で泣いた夜もあった。
「思い返せば一緒にたくさん泣いてきました。やっぱり時々、彼女自身の不安を吐露してくれる時があるんです。“私、病気だけど、いつか歩けるようになるんだよね?”とか、抱えている思いがパッとあふれる瞬間がたぶんあるんだと思います。そんな時は、まずは話をしてもらって一緒にいてすごく幸せだという話をしたり、これはできないかもしれないけど、こういうのはどうかと提案してみたりします。そして、主人が帰ってきて、最後はみんなで笑うという感じですね。主人がちょっとズレていたりすると、娘がそういうことじゃないよって突っ込んだりして、バランスが取れている感じがします」
ともに泣き、支え合い、手を取り合って、前に進んでいく家族の姿がそこにある。
「娘が中心になって、家族全体が温かくなっている感覚がすごくあるんですけど、今回、このように公表して、読んでくださる方々も温かくしていけるような、私たち家族がそんな存在になっていきたいと思っています」
見据えているのは、家族3人の明るい未来だ。