【インタビュー】9歳の長女の難病を公表し、発信を始めた女優星野真里(43)がスポニチアネックスのインタビューに応じた。星野にとって「これが普通の子育てですが、他の多くの方々にとっては普通ではないさまざまな出来事を経験してきたのだと思います」という9年間。長女ふうかさん、夫でTBS元アナウンサーで現在CSR推進室長の高野貴裕氏と3人で手を取り合って築いてきたのは温かい家庭。「娘を通じてたくさんの方々や制度に助けられて来ました」。当初は初めて直面することに戸惑いも、遠慮もあったが、そんな中で出合った心を軽くしてくれた言葉とは…。(鈴木 美香)
長女ふうかさんは、筋肉の構造に先天的な異常があり、筋力が低下する国の指定難病「先天性ミオパチー」の一種「中心核ミオパチー」で、現在小学校の特別支援学級に通っている。
振り返れば、生後2、3カ月を過ぎてもふうかさんの首がなかなかすわらないことに、新米ママだった星野が違和感を覚え、周囲に聞いてみたりしたものの「個人差があるから」との答えが多く、そうあってほしいとの願いとともに日々を過ごしたという。そして、6カ月検診の時に検査をするように言われ、何度か受診するうちに「先天性ミオパチー」の可能性も医師から告げられた。だが、幼い体で全身麻酔を要する検査が可能になるのは2歳とされ、その時まで待って、病名がようやく分かった。
「最初に言われた疾患が外科的処置をしなければ2歳まで生きられるかどうか分からないようなものだったので、そうではなかったということが、これからも一緒にいられる、この子の成長を見ていられるという、診断された病名がむしろ希望というか、明るい情報として家族のもとに届きました。分からないということが一番不安ということが逆に分かって、娘の病気に限らず、世の中のさまざまな困難を抱えている方々にもそうなんじゃないかと思うのですが、分かったから、現状を知っているからこそ、そこからの一歩が踏み出せると思いました」
家族3人で新たに切ったスタート。だが、日々の生活をともに歩んでいく中で、物理的にどうしてもできないこと、戸惑うこともあった。
「そんな時に、幼稚園の先生に“人を頼ることができるというのも一つの才能ですよ”と言ってもらえたのがすごくありがたくて。私は人に頼ることができずに自分の中でいろいろ抱えて苦しい思いをしてきた人間なので、誰かに頼る、頼っていいんだと知れたのがすごく大きかった。障がいがあるなしにかかわらず、助けてほしいという、その一言が言えないだけに苦しんでいる人が世の中にはたくさんいるんじゃないかと思います。私の場合はもう少し心を軽く生きていいよと教えてもらいました」
出会いが広がった。さまざまな制度を利用し、支えを受けた。「いろいろな方の温かさを知りました。40年近く生きてきましたが、娘を通じて、自分が知らないことがこれほどたくさんあるのか、と驚かされました。そして、これほどあたたかい世界があるというのを、まだご存じでない方に知っていただきたいという気持ちが、公表したいという気持ちにつながっていきました」
ふうかさんのインスタでは、自転車に乗ることにチャレンジし、星野を含めた大人3人がふうかさんと自転車を支える動画が投稿され、「自立とは依存先を増やすこと 小児科医、熊谷先生の言葉を実践中の高野家です」との星野のコメントが記されている。これに「深い言葉」「勇気をもらった」など温かい声があふれた。
「皆様に頼らせていただき、感謝しています。どなたかにやっていただいたら感謝し、そして自分もまた誰かに対してやりたいという気持ちが生まれる。そういう連鎖が生まれたらいいなと思っています」
愛娘を通じて知った温かさを伝えていく。