プロ野球の12球団合同トライアウトが14日、ZOZOマリンスタジアムで行われ、投手、野手計45選手が参加。トライアウトはカウント0―0からのシート打撃形式で行われた。元ロッテで2019年に戦力外通告を受けた島孝明投手(26)が異例の挑戦を果たした。
ロッテ時代ユニホームに身を包んだ背番号「40」がマウンドで躍動した。1人目の打者の前広島・曽根に対して、初球は148キロを計測。振りかぶって投げる美しい投球フォームから、140キロ台後半の直球で押し込んだ。結果は四球だったが、球場をざわつかせたのは次打者・西田の時だった。
2球目に151キロを計測。現役時の最速だった153キロに迫る球速を見せつけた。最後は150キロ直球を右前にはじき返されたが、全力を出し切った。「5年あるので、結果は期待していなかったですが、球速が思ったより出ていて、結構ビックリしています」。すがすがしい笑顔で登板を振り返った。
同投手は東海大市原望洋から2016年ドラフト3位でロッテに入団。150キロ超の直球など、高い将来性を期待されたが、プロ入り後は制球難に苦しみ、3年間で1軍登板はなし。19年に戦力外通告を受けた。現役引退後は「セカンドキャリア特別選考」で国学院大学に進学し、教員免許を取得。今年4月からは慶大大学院に進んだ。
大学では動作解析、スポーツ科学などを研究し、自らの体の動きに落とし込んだ。投球については「引退して2、3年は、そこまでやっていなくて、、去年、今年くらいから投げる量が増えてきた感じですね」と言う。それでも会員制のジムで3日に1回50~60球のペース。「のんびりしながらやっていた感じ」と笑うが、潜在能力がここにきて開花した形だ。
ネット裏に詰め掛けた各球団の編成担当へのアピールは十分だった。「どこか声を頂ければ、うれしいと思いますし、今日は自分のベストを尽くせたので、そこは非常に良かったと思います」と悔いは残さず。6年ぶりのNPB復帰を目指して、吉報を待つ。
12球団合同トライアウトはNPB主催で2001年から開催。6月21日の日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の事務折衝で存続の可否、開催方式などが話し合われた。12球団ともプロスカウト制度が定着し、トライアウトが形がい化している現状を受け、NPB主催としては今季が最後となる方向性となっている。