広島からドラフト3位で指名された岡本駿投手(22=甲南大)が14日、兵庫県芦屋市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金5000万円、推定年俸1000万円で仮契約を結んだ。現在開催中の「ラグザス presents 第3回 WBSCプレミア12」で侍ジャパンの守護神を務める巨人・大勢投手(25)と同じ阪神大学野球連盟出身。故障歴など境遇も重なる先輩が歩んだ「出世ロード」を目標に決意表明した。
岡本が描く理想の将来設計を、そのまま実現している投手がいる。それが大学1年時に投球を目撃して衝撃を受けた巨人の大勢だ。
「阪神大学野球の先輩ですし、凄い球を投げる。大勢選手と同じように僕も応援される選手になりたいです」
21年秋、同じ連盟に所属する関西国際大の4年生だった大勢のリーグ戦登板を観客席から見つめていた。「球が物凄く速かった。右打者の内角にもフォークやスライダーを投げたり、打者が全く手を出せていなかったことを覚えています」。球場にはNPB全12球団の編成幹部が勢ぞろいしていた。そのスカウトの熱量に接しても、まだ無名投手だった自身にとっては「有名な選手は、こうなるのか…」と他人事だった。
「僕は大学で投手を始めたばかりで、その頃は(プロ入りは)見えていなかったです」
その先輩の歩んだ出世ロードが目標になる。大勢は右肘痛で4年春のリーグ戦登板が1試合。岡本も腰痛で今春登板は2試合だった。大学時代の実績が乏しかったとしても、プロで通用することを大勢が証明してくれた。「(大勢以外に)阪神大学リーグでロッテの友杉選手だったり、高いレベルの選手を見てきた。自分もいつか、そのような実力のある選手になりたいです」。大学4年間で築いた誇りを胸にプロの世界に飛び込む。
大勢は3年目の今年に侍ジャパンの守護神を務めており、「自分もしっかりと成績を残して、日本を背負えるような投手になりたいです」と日本代表入りの野望も抱く。そのためにも、2、3年後の1軍戦力として期待する球団の育成プランに甘えるつもりはない。
「(仮契約をして)入団するのだな…との思いが明確になりました。1年目から開幕1軍に入って、少しでも早く活躍したい。いいスタートが切れるように、体を万全にしていきたいと思います」
最速149キロの本格派右腕ながら、投手転向は大学入学後と将来性十分。長身右腕が進む成り上がりへの道は、無限に広がっている。(河合 洋介)
◇岡本 駿(おかもと・しゅん)2002年(平14)6月12日生まれ、徳島県勝浦町出身の22歳。小2から勝浦タイガースで野球を始め、勝浦中では軟式野球部に所属して内野手と投手を務める。城南(徳島)では1年秋からベンチ入りし、2年秋から背番号6。甲南大で投手に転向し、1年春にリーグ戦初登板。50メートル走6秒4、遠投110メートル。1メートル86、80キロ。右投げ左打ち。