◇大相撲九州場所5日目(2024年11月14日 福岡国際センター)
3大関がそろって勝利した。新大関・大の里は熱海富士を押し出しで下し、連敗を免れて4勝目。土俵入りで「唯一無二」が刺しゅうされた化粧まわしに替え、快勝した。豊昇龍は結びで若隆景を小手投げで退けて無傷の5連勝。琴桜も宇良を力強く押し出して1敗を守った。勝ちっ放しは豊昇龍と平幕の隆の勝、阿武剋の3人となった。
大の里はしっかりと切り替え、連敗はしなかった。熱海富士を会心の攻めで退けると、冷静に勝ち名乗りを受けた。
前日は突き押しの阿炎に投げ捨てられ大関初黒星を喫した。連敗となれば連続優勝に暗雲漂う中、伝達式で述べた口上の「唯一無二」の文字が刺しゅうされた新品の化粧まわしで気分一新、土俵入りした。相手は先場所初日に土俵際まで追い込まれ左足一歩で残して逆転勝ちした難敵だが、集中した新大関の相手ではなかった。鋭い踏み込みから得意の右差し。左から強烈なおっつけで上体を浮かせ一気に運んだ。支度部屋ではこの日も「集中して」を連呼。雑念をシャットアウトするかのように自分の世界に入り込んだ。
連敗しないことも看板力士の証。八角理事長(元横綱・北勝海)は「連敗せず、一つ乗り切った感じだ。腰が高かったが、左からの攻めが良かった」と評価した。きょう6日目は先場所で敗れた若隆景戦。「明日も頑張ります」とだけ話し、足取り軽やかに引き揚げた。 (黒田 健司郎)