プロ野球のフリーエージェント(FA)宣言選手が14日にコミッショナーから公示され、巨人は大山悠輔内野手(29=阪神からFA)、甲斐拓也捕手(32=ソフトバンクからFA)に加え、石川柊太投手(32=ソフトバンクからFA)の獲得に乗り出す方針を固めたことが分かった。FA3選手を獲得すれば16年オフと並んで球団最多で、15日に交渉は解禁。12年以来の日本一奪回へ積極的な補強策を打ち出した。
本気の「トリプルアタック」だ。今オフのFA補強に参戦する巨人が大山、甲斐に加え、通算56勝を挙げている石川の獲得も狙う可能性が高まった。
石川は8日に国内FA権行使を表明した際、「自分が野球界でどういう評価をされているのかを見てみたいというのが一番のところ。選択肢が広がるところに価値はあると思うので行使させていただくことにしました」と話していた。宣言残留を認めているソフトバンク、獲得調査を進めるヤクルト、ロッテ、オリックスなどとの争奪戦に発展することが確実な中、3年以上の複数年契約を用意するとみられ、誠意を示していく構えだ。
同一年のFA補強は2選手までがルールながら、補償の必要がないCランクの選手は数に含まれない。Aランクとみられる大山、Bランクとみられる甲斐の補強に乗り出す中、石川の今季年俸は1億2000万円でCランクとみられ、3選手の獲得へ支障はない。
今季の巨人は4年ぶりのリーグ優勝を果たした一方、CSファイナルステージではDeNAに敗れ、日本一奪回はならなかった。チームトップの15勝を挙げた菅野が海外FA権を行使してメジャー挑戦を表明。石川は先発、救援どちらにも適性を持ち、23年には西武戦でノーヒットノーランを達成するなど、持ち味のパワーカーブの切れは健在だ。今季も勝負どころの夏場から終盤戦にかけて5連勝。7勝2敗、防御率2・56でリーグ制覇に貢献した。巨人はソフトバンクに敗れた19、20年日本シリーズで石川に1勝ずつを許し、実力をよく知る。
今オフのFA選手の目玉とされる大山、甲斐にはともに5、6年規模の大型契約を用意するとみられる。それぞれ慰留を続ける阪神、ソフトバンクとの争奪戦の構図だ。阪神の4番打者を獲得すれば球団史上初。同様に石川―甲斐という同一球団バッテリーの同時獲得も初めてだ。12年を最後に日本一から遠ざかる中、妥協なき大補強で戦力を整え、伸び盛りの若手選手との融合をもくろむ。「トリプルアタック」は、その覚悟を示すことになりそうだ。
▽FA選手の獲得人数制限 野球協約には、FA宣言選手のうち直前シーズンまで他球団に在籍していた選手と選手契約を締結できるのは2人までと規定されている。ただし、公示されたFA宣言選手が21~30人の年度は3人まで、31~40人は4人、41人以上は5人まで。この人数制限はCランクの選手には適用しない。