◇12球団合同トライアウト(2024年11月14日 ZOZOマリン)
戦力外になった選手らを対象とした12球団合同トライアウトが14日、千葉市のZOZOマリンスタジアムで行われ、45選手が参加した。投手32人のうち最後に登板した元ロッテ・島孝明投手(26)は19年の引退後では最速151キロを計測。現在は慶大大学院に通い、5年のブランクをものともせず猛アピールした。
32投手の最後に登場した島が観衆3420人の視線を独り占めした。5年ぶり登板で初球から148キロ。打者2人と対戦し、曽根に四球を与えた後、西田への2球目には最速151キロまで上がった。「ビックリです。練習も145がマックスだったのに」。最後は右飛。登板前にロッテ・吉井監督から「ベンチで見ている」と声をかけられ、8年前の東海大市原望洋高3年時に計測した自己最速153キロに迫った。
19年に戦力外になって現役を引退。今は動作解析やスポーツ科学を研究し、野球は3日に1回会員制ジムで50球を投げ込む程度の趣味でしかなかった。1カ月前に現行のトライアウトが今回限りと知り「最後のチャンス。チャレンジしよう」と決心。慶大大学院の講義後に慶大野球部の控え部員と連日キャッチボールし、急ピッチで仕上げた。
背番号40のユニホームに「痩せたので緩んだかな」と苦笑い。現役時代は19年の2軍戦で1試合だけ上がったZOZOマリンのマウンドで最高のパフォーマンスを発揮できた。NPBや社会人から誘いがあれば「うれしい」と話しつつ、第一線から離れているとあって「今後のビジョンとか総合的に考えていきたい」と慎重。異例の挑戦を終え、ファンから温かい拍手が送られた。(伊藤 幸男)
◇島 孝明(しま・たかあき)1998年(平10)6月26日生まれ、千葉県佐倉市出身の26歳。東海大市原望洋から投手として16年ドラフト3位でロッテに入団。甲子園出場はなく、3年夏の県大会では準々決勝で優勝した木更津総合に0―1で惜敗。プロでは1軍登板はなく、2軍通算0勝1敗、防御率7.47。19年引退後は、セカンドキャリア特別選考で国学院大人間開発学部健康体育学科に進学し、教員免許取得。今春から慶大大学院政策・メディア研究科。1メートル78、81キロ。右投げ右打ち。