国鉄(現ヤクルト)などで内野手として活躍した徳武定之(とくたけ・さだゆき)さんが14日に悪性リンパ腫のため都内の病院で死去していたことが15日、分かった。86歳だった。中日、ロッテに加え母校・早大でもコーチを務め数多くの選手を指導。「最後の教え子」で22年度卒の西武・蛭間はスポニ本紙の取材に「僕にとって父親のような存在。厳しく、熱く指導してもらって息子のように大事にしてくれた。感謝しかありません」と悼んだ。
徳武さんは早実で王貞治(現ソフトバンク球団会長)らと56年夏の甲子園に出場。早大ではベストナインを5度も受賞した。主将だった60年の東京六大学秋季リーグでは、慶大と優勝決定戦の再々試合まで争った伝説の「早慶6連戦」を制して優勝。第3戦で徳武さんの本塁への激しいスライディングで乱闘寸前となったのは今でも語り草となっている。
61年に強打の三塁手として国鉄に入団。1年目から4番を任されて全試合にフルイニング出場した。6年目の66年まで全試合出場。68年に中日に移籍し、70年限りで現役を引退した。72年から中日、ロッテで打撃コーチなどを歴任。ロッテでは後の3冠王である若き落合博満らを指導し、90年にロッテ、95年には中日の監督代行を務めた。99~14年の早大打撃コーチ時代は鳥谷敬、青木宣親らが教え子だった。
徳武さんは19年に早大コーチに復帰。プロ入り後も打撃指導を受けていたという蛭間は「1週間前に電話をして、21日に会う約束をしたばかり。自宅にお邪魔して今年の報告とか、打撃の相談をしたいと思っていたのですが…」と突然の別れを悲しんだ。
≪次女が郷ひろみと結婚≫徳武さんの次女で元タレントの利奈さんは12年3月に歌手の郷ひろみと結婚。利奈さんが32歳、郷が56歳で24歳差の「年の差婚」としても話題になった。徳武さんは「孫が楽しみ」と喜び、ゴルフや飲みに行く仲の郷のことを「自分の息子みたいな感じ」と話していた。13年1月の披露宴には早大OBの広岡達朗氏、早実OBの王貞治氏、徳武さんの早実、早大の後輩である日本ハム・斎藤佑樹らも出席した。
◇徳武 定之(とくたけ・さだゆき)1938年(昭13)6月9日生まれ、東京都出身。早実で王貞治と56年夏の甲子園出場。早大で主将を務め、60年秋は慶大と優勝決定戦の再々試合まで争った「早慶6連戦」を制し優勝。内野手として61年から国鉄(現ヤクルト)でプレー。68年に中日に移籍し、70年に現役引退。72年から中日、ロッテでコーチなどを歴任し、90年にロッテ、95年に中日で監督代行。右投げ右打ち。監督代行の通算成績は17勝39敗1分け。
◇徳武定之さん葬儀日程
【通夜】21日(木)午後6時
【葬儀・告別式】22日(金)午前10時
【場所】桐ケ谷斎場=東京都品川区西五反田5の32の20
【喪主】妻香(かおり)さん