◇プロボクシング ヘビー級8回戦(1ラウンド2分) 〇ジェイク・ポール 判定3-0 マイク・タイソン●(2024年11月15日 米テキサス州アーリントン AT&Tスタジアム)
プロボクシング元統一世界ヘビー級王者のマイク・タイソン(58=米国)が、YouTube登録者数2000万人以上の超人気ユーチューバー兼ボクサーのジェイク・ポール(27=同)に0-3の判定で敗れた。採点はジャッジ1人が80-72、2人が79-73で、いずれもポールを支持した。戦績はタイソンが50勝(44KO)7敗、ポールが11勝(7KO)1敗。
タイソンは05年6月にケビン・マクブライド(アイルランド)に6回TKO負けして以来、エキシビションを除くと19年ぶりの“公式試合”のリング。年齢を考慮されて試合は1ラウンド2分に短縮され、グローブは通常よりも重い14オンス(約396グラム)が使用された。序盤は代名詞の「ピーカブースタイル」でプレッシャーをかけたタイソンだったが、3回から明らかにスローダウン。手が全く出なくなり、ハンドスピード、手数とも上回るポールに左の3連打やコンビネーションを浴びるシーンもあった。
リング上のインタビューで、タイソンは「とてもハッピーだ」と穏やかな表情で語った。「他人に証明することなどない、自分自身に証明しただけだ」と話し、自身を下したポールを「良いファイターだ。絶対に敬意を払われるに値する」と評価した。
ポールは、彼女である22年北京冬季五輪スピードスケート女子1000メートル銀メダリストのユッタ・レールダムを伴って来場。オープンカーに乗ってリングに向かうなど試合前のパフォーマンス派手だったが、戦い方は慎重で堅実だった。過去10戦のようなKOやダウンシーンはなかったものの、試合途中からはタイソンを気遣うようなしぐさも見られた。リングインタビューでは「まずはマイク・タイソンと戦えて光栄。彼に刺激を受けた。彼がいなければ自分はここにいない。彼は象徴的な存在だ」と敬意を示し、「予想どおり大変だった。彼は思ったとおり、史上最高のファイターの一人。彼をやっつけようとしたが、逆にやられるのが怖かった」と話した。