将棋の藤井聡太竜王(22)=王将など7冠=が挑戦者に佐々木勇気八段(30)を迎える第37期竜王戦7番勝負第4局は16日、大阪府茨木市の複合施設「おにクル」で2日目が指し継がれ、先手・佐々木が97手で勝利した。対戦成績を2勝2敗として27、28日、和歌山城ホールでの第5局から改めて3番勝負となる。
「12月までシリーズを楽しむことができます。これをモチベーションに頑張りたい」
終局後、主催者インタビューを終えた佐々木が大盤解説会場を訪れ、喜びを語った。「失うものがない」とされる挑戦者。しかし藤井相手のタイトル戦では7番勝負が4局、5番勝負が3局で終わる可能性を危惧しながらの戦いとなる。
その圧倒的な強さの前に、対戦相手は対局準備を整えて待ち受ける開催地関係者の姿を思い浮かべるかも知れない。2勝2敗としたことで、最短での決着が第6局となることが確定した。
1日目午前の27手目、早繰り銀を5段目へ進め、藤井陣へ圧力を加えた佐々木の新手。つまり早繰り銀から腰掛け銀の構想、さらに4筋への角打ち。2筋の藤井飛車をターゲットとし、攻めを構築する研究手順を藤井は「軽視した」と語った。
1勝2敗で迎え、先手番を落とせばもう後がなくなるどころか、第5局は後手番をしのがないといけない。対局前日の前夜祭。マイクを握った佐々木が語った「踏ん張りどころ」は本音だった。
「今回は内容よく指せたと思います。竜王戦は自分の実力以上、内容のいい将棋を指せている。継続できるように実力を高めたい」。藤井相手の対局は自らをも高めてくれる。佐々木の充実感が言葉から伝わった。