豊昇龍は5日目の若隆景戦から相手に合わせて立ち合いを変えるようになった。序盤戦は一気に前に出る相撲で力強かったが、ここに来て後手に回るケースが増えている。阿炎戦も相手の動きを見て立った分だけ立ち遅れてしまった。喉輪で上体を起こされ、あっけなく引き落とされた。
中盤戦に入って相撲の流れが悪くなったのは、慎重に取ろうとしすぎているからだろう。今のままでは迷路にはまっていくだけだ。立ち合いで思い切り頭から当たったり、前に出て突き放してまわしを取りにいくような攻めの意識を取り戻さないと、流れを変えるのは難しいだろう。
一方の阿炎はこれで2大関を撃破。先場所は足首を痛めていたようで5勝に終わったが、今場所は横の動きが良い。腕もよく伸びて自分の距離感で相撲が取れている。後半戦に向け楽しみな存在になってきた。
(元大関・栃東)