◇WBSCプレミア12 1次ラウンドB組第3戦 日本3-1台湾(2024年11月16日 台北D)
「ラグザス presents 第3回 WBSCプレミア12」に出場している侍ジャパンは16日、1次ラウンドB組で全勝対決だった台湾戦に3―1で勝利した。先発した才木浩人投手(26)は5回2/3を3安打無失点。国際大会での自身初勝利を挙げた。
才木の速球は、大観衆の後押しを受ける台湾打線すらも押し込んだ。序盤から力を余さずに腕を振り続け、5回2/3を3安打無失点。「逆に応援してくれているのかな…と。楽しんで投げられました」。完全アウェーにも動じることはなかった。
「真っすぐを振ってきているのは分かっていた。ファウルを取れていたので良かった」
日の丸のユニホームを着て初めての登板で見せたのは国際大会仕様の投球。全83球中、直球が52球と全体の62・7%を占めた。今季レギュラーシーズンでは直球の割合50・2%。得意球の一つである140キロ前後のフォークを減らしてまで、意識的に「高め直球」で押し込み、自身だけではなく、阪神投手としても主要国際大会での初勝利をマークした。
「高め直球」は、侍投手陣のテーマの一つでもある。前日の韓国戦では、3番手・藤平が高めの直球でカウントを整え勝負球に低めフォークを選択。3者連続空振り三振を奪うなど、4投手で計17奪三振を数えた。その成功体験に続き、5奪三振の結果球は直球が2、フォークが3。日本代表のデータ班が強調してきた「強振を続ける外国人打者には高めが有効」との情報を信じ、才木も直球系を連投した。
その堂々と投球する姿とは裏腹に、侍ジャパンへの合流前に唯一、不安に挙げていたのが「人見知り」の性格だった。そんな右腕を救ったのが、早川や鈴木昭ら同学年の存在。その性格を知ってか、気さくにしゃべりかけてくれたことで徐々に打ち解けた。「何回も誘ってくれたので助かりました」。宮崎へ向かう前、大のゲーマーでもある才木は荷物に任天堂「Switch」をそっとバッグに詰め込み、部屋にこもって一人でやる想定もしていたが、必要ないほど親交を深めた。
17日のキューバ戦に先発する早川に最高の形でバトンを渡した。「(次戦も)気合と根性でという感じです」。直球が世界に通用することを証明した。 (石崎 祥平)
○…先発の才木(神)が5回2/3を無失点で勝利投手。阪神の投手が主要国際3大会(五輪、WBC、プレミア12)で先発するのは、13年WBC第2ラウンド・台湾戦の能見篤史以来2度目で、勝利投手となるのは先発に限らず才木が初めて。