マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏（51）が16、17日の2日間にわたり、岐阜野球部を臨時指導した。
野球部訪問は今月9、10日の2日間にわたって指導した大阪の大冠野球部に続き、6年連続通算10校目。
岐阜は、東大・京大などの国公立や有名私大に毎年合格者を出している県内トップクラスの進学校。野球部は日本最古の野球部であり、学校は今年創立151年目。岐阜一時代を含め春3度、夏3度の計6度の甲子園出場を誇る古豪だが、夏は1954年を最後に70年甲子園から遠ざかっている。昨夏は岐阜大会8強。新チームは今秋岐阜県大会2回戦で大垣日大に敗れた。
2日間かけて、アップからキャッチボール、打撃、走塁など、自ら実践しながらポイントを伝授した。
捕手で4番を務める荒井駿主将は「幸せな時間でした。本当に」と大感激の様子。
「実績がそこまで残っているわけでもなくて、全国レベルからしたら何だこのチーム、と思われる程度だと思うんですけど、そのような僕たちのところまで足を運んでくださって、僕たちと、野球と向き合ってくださって。お手紙を出していただいたOBの方もそうですし、関係者の皆様もそうですし、何よりイチローさん本人にこんなにありがたいことはないと感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝した。
イチロー氏は2日間の指導を終え「（言うことが）何もない、って言ってもいいくらい、みんなの反応がいいなと思った。特に今日の走塁。今までのチームで、ここまであの形をスムーズにできたことはないと思う。みんなが一番。びっくりしました」とその反応の良さを称えた。
荒井主将は「それ以上にうれしい言葉はないと僕自身思いますし、野球に関して僕たちが向き合ってきた部分が、今後の生活に生きる、っていう言葉は、僕たちが勉強ももちろん大事ですけど、それを削って、他の生徒とは違う時間の使い方をしてきたものが、無駄じゃない、今後につながるんだという言葉をいただけて、うれしい限りです」と喜んだ。
八代周士監督も「生徒たちに伝えたのが一月前。本気でイチローさんの情熱に向き合えるようにしようと。この1週間過ごしてきたんですけど、この2日間、本当にずっといろんなことを聞き漏らさないように聞く姿であったり、普段、積極的に一歩動けない選手が自分から話しを聞きに行ったり。何か与えてもらったきっかけをチャンスにして、もっと生まれ変わりたいなという姿を見ることができたのは、この2日間、ありがたいなと感じました」と選手の成長に目を細めた。
「こんなに刺激をいただける機会は普通に過ごしていて、ないことだと思うので、このいただいたきっかけを生徒たちが野球でまずはものにしてくれるように夏に向けて頑張りたい」と意気込んだ。