広島・石原貴規捕手(26)が17日、秋季日南キャンプ最終クール初日に行われた紅白戦(天福)で、新井貴浩監督(47)ら首脳陣をうならせた。紅組の「8番・捕手」で先発。初回2死満塁で正確なけん制から二塁走者を刺すと、4回には同点の左前適時打を放った。今季1軍で飛躍への土台を築き、打力アップを目指す今秋。ライバル・坂倉と切磋琢磨(せっさたくま)し、打って正妻を勝ち取る決意だ。
今季1軍で56試合に出場した経験はダテじゃない。2点を失った初回、なおも2死満塁で魅せた。二塁走者・中村貴を正確なけん制で刺し、制球に苦しむ先発・滝田を助けたプレー。遊撃手・矢野とのアイコンタクトの成果だった。
「満塁でランナーが三塁。ある程度信頼してくれないと、そういう要求はしてこないと思う。矢野とは“狙えるんじゃないですか”とか、よく話をするので。しっかり見えているのはいいこと」
スローイングには定評がある。打撃でもアピールした。1点劣勢の4回2死二塁で、2番手の左腕・高から同点の左前タイムリー。タイミングを早めに取る、スタンスを狭めるなどの試行錯誤を続ける今秋、これが実戦2本目の安打だった。
「守備も打撃も、引き出しが多ければ有利になる。チェンジアップなど、左投手の奥行きのある球でやられることが多かったので、改善したい。今日はよかったので、続けようかなと思います」
5年目の今季は、1軍で確かな足跡を残した。打率・230、3本塁打、11打点。30試合で先発マスクをかぶり、途中出場した7月13日のヤクルト戦(マツダ)では0―0の延長11回に田口から劇的なプロ初のサヨナラ弾を放ってみせた。
チームで打力向上を目指す秋季キャンプ。新井監督の評価は上々だ。「落ち着いて視野が広がっている。今年1年、いい経験して成長したな…と。捕手は重労働なのでケガも多いし、1人じゃキツいからね。彼の成長は、チームにとっても大きい」と目を細める。
石原が掲げるテーマも打撃強化だ。侍ジャパンの一員として国際大会「プレミア12」に参戦中の坂倉、ベテラン・会沢らと競う正妻の座。「今のままではダメ。(守備にも)改善点は多くある」と認識しつつ、言葉に力を込める。
「比べられるのは坂倉なので。打つ方で見劣りしちゃうというところはあるので、負けないように課題をつぶしていきたい。レギュラーを獲り、試合に出て勝ちたいので」
6年目の飛躍。坂倉と切磋琢磨し、打って正捕手獲りへ。石原の目には力が宿っている。 (江尾 卓也)
≪内田4試合ぶりに安打≫
C…内田が4試合ぶりに「H」ランプをともした。新井監督の指導を受けた後に白組の「3番・三塁」で先発し、3回に詰まりながらも右翼線二塁打。「教えていただき、やってみたけど、自分には難しくて。やってみて分かる失敗なので意味があるかなと思います」。10月5日の今季最終戦でプロ初打席初安打を放った高卒2年目のホープ。秋季キャンプは残り3日となり「まだまだ自分のスイングができていないけど、最後までやれることをやって終わりたい」とラストスパートを誓った。
≪佐藤が本領発揮の適時打2本≫
C…佐藤が安打製造機ぶりを発揮した。紅組の「1番・二塁」で先発。2点を追う3回無死二塁で右越え適時二塁打を放つと、5回には中前打、7回にも投手強襲の適時打だ。「少しずつよくなっている感じ。監督やコーチの教えを継続し、技術になっていると思います」と手応えを強調した。15日の紅白戦でも2安打を放ち、2試合で5安打。2軍戦で今季リーグ5位の打率.288をマークした左の巧打者は「充実しています」と目を輝かせていた。