阪神・豊田が“危機感MVP”に選出され、真価が問われる4年目の来季へ弾みをつけた。
目立った選手を問われた藤川監督は「ぱっと思いつかない」と切り出しながらも「危機感が結果に表れたという意味では豊田。新しく来た小谷野コーチと打撃を磨いて。彼の打撃の質が凄い上がってきていて」と称賛。佐藤輝、前川、井上ら期待の和製大砲を抑えて、猛アピールに成功した形となった。
「3番・右翼」で出場した前日16日も右前打を放つなど今キャンプの紅白戦3試合すべてで安打をマークし、計8打数5安打と存在感発揮。今季は6月に昇格してプロ初安打を記録したものの、7月下旬に2軍降格して以降は出番がなかった。
来季28歳シーズンを迎える背番号61が、その「危機感」をあらわに安芸で躍動。指揮官も「彼は年齢が少し上。危機感からくる成長、タイガースの場合、それが重要。苦労、努力してつかんだ選手というのは外さないんですよね。もしかしたら豊田は、それに当たるかも」と目を細めた。
秋季練習初日には藤川監督から「小川!」と名前を間違えられ、「豊田です」と訂正するひと幕も。“無名”状態から約1カ月でMVPへと“出世”した豊田は「そのつもりでこのキャンプに入ってやっていたので、言ってもらえてうれしい。(名前を覚えられず)そういう危機感もあった」と喜んだ。
勝負はこれからだ。秋のMVPの輝きを春までさびつかせず、結果につなげられるか。「(来年)2月1日にレベルアップしてるなと思ってもらえるように、オフシーズンやっていきたい」。若いだけがすべてではない。豊田の逆襲はこれからだ。(遠藤 礼)
≪東海大相模で甲子園V≫
◇豊田 寛(とよだ・ひろし)1997年(平9)4月28日生まれ。横浜市出身の27歳。東海大相模では2年夏と3年夏に甲子園出場し、3年夏は4番打者として優勝に貢献。国際武道大では千葉県大学リーグ通算8本塁打。日立製作所では入社から2年連続都市対抗出場。21年ドラフト6位で阪神入り。3年目の24年6月13日オリックス戦でプロ初安打。1メートル78、88キロ。右投げ右打ち。