◇WBSCプレミア12 1次ラウンドB組第4戦 日本7―6キューバ(2024年11月17日 天母)
「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」で大会連覇を目指す侍ジャパンは17日、キューバを7―6で振り切り、開幕4連勝で1次ラウンドB組の1位突破を決めた。最大4点差を追いつかれた雨中の激戦。井端弘和監督(49)は8回に代走・五十幡亮汰外野手(25)を投入する勝負手で決勝点をもぎ取り、国際大会23連勝へ伸ばした。
終盤に強まった猛烈な雨の中で井端監督は汗を拭った。天母球場の日本のベンチ裏には「態度 BE TOUGH(タフであれ)」の刻印。4時間7分の激戦を制した。
「苦しい試合でしたが、勝てて良かった。全選手が最後まで諦めずに戦ってくれた。本当に感謝しています」
4点リードを追いつかれて迎えた8回。勝負手を打った。遊撃手の失策で出塁した今季13盗塁の小園に代えて走塁の切り札として招集した五十幡を代走に送った。
死球と三ゴロで三塁まで進んだ1死一、三塁。ギャンブルスタートのサインだったことでフルカウントから栗原の打球に一度は大きく飛び出した。浅い左飛で急いで帰塁。タッチアップして再スタートを切り、決勝の本塁に飛び込んだ。
「足場は気になった。足を取られないように意識して一球一球、集中した。重圧をかけられたと思う。盗塁だけが求められていることではない。武器を生かせた」
五十幡でなければ、生還できたかどうか。井端監督は「ギャンブルもしながら、よくタッチアップしてくれた」と称えた。
井端監督は休養日には分析班に加わり、メキシコリーグなどの映像を寄せ集めてキューバを分析。「映像が古かったり鮮明じゃないんだよ…」。暗くてよく見えない映像にも目を凝らして準備した。
3連勝で迎えた4戦目。国際大会ならではの事態もあった。ロッカー室が全28選手に足りず、10人近くがベンチ裏の通路にあふれ出た。長いテーブルに荷物を置き、簡易的な椅子を使用。無理に一室で密集状態はつくらせず、一人一人が広いスペースで自身の環境を整えて準備した。
今大会初の屋外球場で当初から天候不良が予想された。2回から5イニング連続得点で優位に進めながら同点。苦しい展開でも勝ちきった。「あと1試合、何とか踏ん張って日本に帰りたい」。8回の攻撃は無安打。各自が役割を果たした末の勝利だった。成長を続ける若き侍への信頼をさらに深め、東京へ舞台が移るスーパーラウンドに思いをはせた。(神田 佑)