◇女子ゴルフツアー 大王製紙エリエールレディース最終日(2024年11月17日 愛媛県 エリエールGC松山=6575ヤード、パー71)
22、23年の年間女王、山下美夢有(23=加賀電子)が5バーディー、2ボギーの68で回り、パー71の会場でのツアー最少記録を1打更新する通算22アンダーで完全優勝を飾った。今季2勝目、通算13勝目。連覇中の今季最終戦、ツアー選手権リコー杯(21日開幕)や来季米ツアー出場権を懸けた12月の最終予選会(アラバマ州)へ弾みをつけた。新女王の竹田麗央(21=ヤマエグループHD)は67で通算17アンダーの3位。今季の獲得賞金は約2億5913万円となり、史上最高となった。
2年連続年間女王でも、やはり追われる立場は緊張する。山下は今季、ここまで1勝を挙げるも2位は7度。最終日にスコアを伸ばせず悔しい思いをした記憶がふとよみがえったが、「それは絶対に嫌」と弱気になりそうな心を必死に奮い立たせた。
7番までオールパーと我慢の時間が続いたが、焦らず自分のプレーに徹した。8番で3メートルを沈めて初めてのバーディー。15番では10メートルを沈めるなど、要所でバーディーを奪った。ツアー新記録の通算22アンダーで伸ばし合いを制し、「落ち着いて自分のプレーには集中できた」とうなずいた。
母の言葉が心をスッと軽くした。最終日、コースに向かう車中のこと。優勝争いを前に緊張でガチガチになっていると、母・有貴さんから「美夢有ちゃん、(愛犬の)パクくんみたいに脱力の気持ちで行き!」と声をかけられた。ゴルフ漬けの日々の癒やしとなっているのが愛犬の存在。抱っこすると脱力感あふれるペキニーズのパクくんの姿を思い出し、「本当に(母は)メンタルコーチです」と感謝した。
3年連続年間女王は逃したが、家族の前で「残り2試合は自分らしい結果で終わる」と約束していた。弟・勝将(まさゆき)も応援に駆けつけた中、有言実行でつかんだ今季2勝目。「凄くうれしいし、ここからまた頑張りたい」。日本人初の同一大会3連覇が懸かる最終戦と米ツアー最終予選会へ、これ以上ない弾みをつけた。 (山手 あかり)