Infoseek 楽天

夕方ニュース勢力図に変化? TBS「Nスタ」好調の理由は 井上貴博アナとホラン千秋の…コンビ8年目

スポニチアネックス 2024年11月18日 7時31分

 夕方ニュース番組の勢力図が変わりつつある。長らく日本テレビ「news every.」(月~金曜後3・50)の一強時代が続いていたが、最近はTBSの「Nスタ」(月~金曜後3・49)が存在感を増している。視聴率では今年度に入り、平均世帯視聴率では肩を並べる日もある。好調の要因を渡辺泰生プロデューサーに聞いてみた。(山内健司、鈴木美香)

 2010年に開始した「Nスタ」。17年から井上貴博アナウンサーとホラン千秋のコンビで番組を一新。2人の軽妙なやりとりが大きな売りとなった。夕方のニュース番組を巡っては、今年4月に日テレ、テレ朝、フジではキャスターの交代が行われた。特に日テレでは10年からメインキャスターを務めていた藤井貴彦アナが「news every.」を卒業するなど大きな動きがあった。

 その中で、TBSのコンビは8年目に突入。2人は本番直前はあまり会話せず、オープニングとともに自由に話し出すといい、熟練のお笑いコンビのような空気感さえあるという。ホランは「分かり合えないことを分かり合える関係」と表現しており、渡辺氏は「価値観が違うことはもう分かっているという前提だからこその議論が生まれる」と分析した。

 17年に名コンビが生まれると同時に「そこから5年くらいかけて改革してきた」と振り返る渡辺氏。最重要視していたのは「スタジオ展開」だった。

 「プレゼンターやコメンテーターも含めたスタジオ全体の雰囲気をすごく大事にしてきたことが他局との違いにつながった」と胸を張る。渡辺氏によると、番組への印象について20年は「2人(井上アナ、ホラン)のかけ合いが良い」というデータが23年には「スタジオ全体の雰囲気が良い」に変化したという。

 2人はもちろん、他にもさまざまな背景を持つ出演者がそろい、活発な議論が展開されている。「夕方のニュースの属性を調べると出演者の雰囲気でチャンネルが選ばれる」というデータもあるといい、改革の効果を実感している。

 スタジオを盛り上げるための工夫として、扱うトピックに迷った時は「ある種、いろんな意見が飛び交うテーマを意図的に選んでいます。親しみやすさ、温度感のようなものを届けられたら」と明かした。最近でもプロテイン、卵かけご飯などのテーマでスタジオは大きく盛り上がった。

 好調の要因として「ここも大きい」とみているのは金曜日の存在だ。4月から井上アナとホラン両氏の出演は月~木曜までで、金曜は日比麻音子アナがメインを務めている。「日比アナに山内あゆアナと南波雅俊アナを加えた3人体制が、木曜までと違った週末らしさを出せている」と説明した。そして「視聴者の方々のリフレッシュ感やリズムにもなれば」との狙いも込めている。

 今後の番組の目標は「まずは1日に何が起きたかが分かる番組。同時に、夕食時に〓Nスタでこんなこと言ってたけど知ってる?〓とつい話したくなる会話のおかずになるようなスタジオ展開を目指して食卓の彩りになれたら」。例えば、渋滞の話題を扱う時も「〓あなたが頼んだ荷物が遅くなるかもしれません〓と一言添えることで自分ごとのように伝わる」とするように視聴者の日常に寄り添い、夕方のニューストップを目指していく。

 世帯視聴率では「『news every.』の見えなかった背中が見えてきた」と手応えもある。だが、昨今重要視されているコア視聴率(男女13~49歳)やTBSが10月から新設した指標LTV4-59(男女4~59歳)ではまだ大きな差がある 。

 「意識するターゲット層でネタの選択も変わってくるのは事実ではあります。ただ、働く世代にもっと見てもらいたい思いがあるので、そこは詰めていきたいです」と言葉に力を込め、「2年以内にコアやLTV4-59で夕方1位の座を奪ってみたい」と誓った。

この記事の関連ニュース