俳優・神木隆之介(31)が主演を務めるTBS系日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(日曜後9・00)第4話が、17日に放送された。女優の土屋太鳳(29)演じる端島の鷹羽鉱業の職員の娘・百合子らの過去が明らかとなり、物語が大きく動いた。視聴者からは多くの感想がネット上に書き込まれ、番組名がXトレンド入りする大反響となった。
<以下、ネタバレあり>
本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語。「アンナチュラル」(2018年)、「MIU404」(2020年)、現在上映中の映画「ラストマイル」など数々のヒット作を生み出してきた、野木亜紀子×塚原あゆ子×新井順子という強力チームが手掛ける。戦後復興期から高度経済成長期の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”にあった家族の絆や人間模様、青春と愛の物語を紡いでいく。
第4話の舞台は1958年7月。朝子(杉咲花)の初恋の人が自分だと知って以来、朝子のことが気になり、浮き足立つ鉄平(神木隆之介)。そんな鉄平を尻目に賢将(清水尋也)は、何か思うところがある様子で…。一方、映画館を辞めて労働組合の新聞編集者としての仕事に精を出していた百合子(土屋太鳳)だったが、長らく体調を崩していた母・寿美子(山本未來)の容態が悪化する。鉄平は、百合子の家族の運命を変えてしまった、1945年8月9日の出来事を思い出していた――。
第二次世界大戦末期の1945年。8月9日は、長崎に原子爆弾が投下され、一瞬で多くの尊い命が失われた。百合子は、長崎市にあるキリスト教のカトリック浦上教会を訪れていた際に被ばく。自身と母は奇跡的に生きながらえたが、姉は命を奪われた。
あの日から10年、百合子の母は白血病を発症し、闘病の末に亡くなった。百合子は「浦上は選ばれた」と話す母はじめ教徒の言葉に「そんなの変よ。傲慢だわ。7万人が死んだのよ。キリスト教徒はその中の8500人。他の人たちはおまけ?」と憤る。「爆弾を落とした人たちも、同じ神を信じてた」と、心から静かにさけんだ。
鉄平や島の住民も、家族を戦争で亡くしている。第4話のラストは、故人の鎮魂や平和への願いを込めた精霊流しのシーンで、「私たちは祈る。今度こそ間違えないように。悲しみを繰り返さないように。強く、いられるように。願いを込めて、祈る」と、鉄平の言葉で締めくくられる。
長崎原爆と平和への願いを描いた第4話の副題は「沈黙」。登場人物を巡る「沈黙」もさることながら、キリスト信仰の根源的な問題を衝いた遠藤周作氏による長編小説「沈黙」と重ねる声が視聴者から上がり「沈黙って遠藤周作氏もかかってる…?」「端島に生きる若者たち、そして鉄平が知ってるのに百合子と家族の過去を「沈黙」することとキリシタンの受難を描いた遠藤周作の小説『沈黙』を重ねる」「沈黙、遠藤周作の代表作とも絡んでいるのかな」「『沈黙』というサブタイトルで遠藤周作の作品を想起しました」「長崎で沈黙というとどうしても遠藤周作を思い出すけど神の沈黙だけでなく、鉄平、百合子、朝子、賢将、新平、リナetc…それぞれの沈黙がある」と、さまざまな意見が上がった。