◇大相撲九州場所10日目(2024年11月19日 福岡国際センター)
結びで1敗を守った琴桜は相手がくせ者の翔猿だからこそ慎重な攻めに徹しました。立ち合いもふわっと立って相手の出方を探り、右を差し込んで有利な体勢をつくった。じっくり構えて最後は強引な投げ。落ち着いていたし琴桜らしい内容でした。今場所はお尻、そして体全体に張りがあります。秋場所よりは数段状態が良いとみています。
期待の裏返しで厳しい言い方もしますが、相撲内容には若干物足りなさも感じています。上を目指せる器ですから、右差しで積極的に出ていく相撲でアピールすることも必要です。四つ相撲も対応力も素晴らしいものを持っているので、これに攻撃力が加われば無双状態。もっと強くなれる余地はあると思っています。
大の里は不十分な形で出ていったことが敗因です。相手にうまく取られたとはいえ我慢が足りません。優勝は厳しくなりましたが、これも勉強と思って、今後の鍛錬に生かしてほしい。(元横綱・稀勢の里)