将棋のALSOK第74期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は20日、東京都渋谷区の将棋会館で挑戦者決定リーグの最終一斉対局が行われ、先手の佐々木勇気八段(30)が後手の羽生善治九段(54)に勝利した。リーグ成績はともに1勝5敗で、両者ともにリーグ陥落となった。
佐々木は穴熊の持久戦で羽生の四間飛車を迎え撃ち、安定感のある将棋で本局を制した。97手目の▲7五歩から攻めの筋に入り、101手目▲5二角で勝ちになったと振り返る佐々木。今期の挑戦者決定リーグを振り返り、「厳しい戦いでしたが、負けても次がある。勉強になった6局でした」と話す。来期は二次予選からの挑戦となり「また挑決リーグ入りを目指して頑張りたい」と力を込めた。
羽生は2019年12月、朝日杯将棋オープン戦二次予選の屋敷伸之九段戦以来、約5年ぶりに四間飛車を選択。「序盤の数手で飛車を振ろうか考えていた。この形をやってみたかったのでやってみましたが、模様の取り方が難しく…少しずつ悪くなってしまった」と語った。79手目に▲2四とと指されたところで「ここから悪くなったかな」と話した。羽生が「今期は色々ミスがあり、反省材料の多いリーグだった。来期はまた新たな気持ちで臨めたら」と意気込んだ。
残る一斉対局のカードは以下の通り。
▲永瀬拓矢九段(32)【4勝1敗】―△近藤誠也七段(28)【3勝2敗】
△広瀬章人九段(37)【3勝2敗】―▲西田拓也五段(33)【4勝1敗】※千日手のため先後入れ替えて指し直し
前期挑戦者の菅井竜也八段(32)は3勝3敗でリーグすでにリーグ終了。
今期の挑戦者争いは永瀬、西田、近藤の3人に絞られている。20日の結果では以下の可能性がある。
(1)永瀬○、西田●→永瀬が5勝1敗で4期ぶり2度目の挑戦
(2)永瀬●、西田○→西田が5勝1敗で初挑戦
(3)永瀬○、西田○→5勝1敗同士となり、25日にプレーオフ
(4)永瀬●、西田●→4勝2敗同士の永瀬―近藤で25日にプレーオフ
(4)の場合、広瀬と西田は4勝2敗で首位に並ぶが、ともにリーグ序列5位のためプレーオフには出場できない(序列は永瀬3位、近藤4位)。
来期のリーグ残留は西田、永瀬の2人だけ。羽生と佐々木は降格が決まっている。残留枠は残り2。菅井、近藤、広瀬のうち一人が陥落することになる。