日本バスケットボール協会(JBA)の渡辺信治事務総長(59)が20日、宇都宮市内で取材に応じ、NBAレーカーズの八村塁(26)が男子日本代表の強化方針やコーチ選定に苦言を呈したことについて言及した。
渡辺事務総長は冒頭で「八村選手(の存在)は日本バスケ界にとって非常に重要。発言は重く受け止めている。選手が自分の考えを言葉にすること自体は止められない。八村選手の発言は本当に重い」と厳しい表情で言葉を絞り出した。八村の代理人事務所のワッサーマンとは「週末にオンラインでコミュニケーションを取った。1時間ぐらい」と明かし「五輪前の代表戦を含めてミスコミュニケーションがあり彼に負担をかけてしまった。代表に合流する前に7月の韓国戦は出場できないと聞いていた。欠場発表が試合の当日になった」ことなどが今回の発言の一つの要因となったとした。
「八村選手を商業目的のために引っ張った意図はなかった」と話した渡辺氏。続けて「強化試合のあり方の話もしていた。本当に強化になる対戦相手とやるべきではないかという話も聞いていた。我々としては日本で試合をすることでバスケの価値を上げたい。活動の原資を獲得する必要もある」と八村の考えに理解を示しつつ、協会の考え方も説明。コーチ選定については、改めて「ヘッドコーチに関しては我々としてはロス五輪に向けてはホーバス監督の下で進んでいく。最大限バックアップしていく。ハードワーク、組織的な強化が必要。ホーバス監督で行く決定が変わることはない」と明言した。今回の八村の発言を受けた指揮官については「ホーバス監督は彼なりにいろいろ悩んで今回の就任を受諾した経緯もあるので、大変複雑な気持ちだろうなと思います」と心情をおもんぱかった。
今後については「NBAの選手は(世界大会しか)来られないので、関係修復の時間的猶予はある。コミュニケーションを取っていきたい」と言葉に力を込めた渡辺氏。「八村選手は(ホーバス監督の続投を)発表をもって知ったと思う。八村選手の見ている世界は僕らとは全然違う。考え方の違いは当然あると思う」と、今回の“協会批判騒動”のきっかけともなった「ミスコミュニケーション」が今後起きないようにしていく強い決意を示した。
八村は13日のグリズリーズ戦後の会見でJBAの強化方針について「僕が思うに、お金の目的がある気がする」と指摘。男子日本代表のコーチ選定については「僕らは日本の男子のトップのプレーヤー。日本代表にふさわしい、男子のことを分かっている、アスリートとしてプロでもやっていた、そういう人がコーチになってほしかった」と不満を口にしていた。その後もX(旧ツイッター)で自身の発言を擁護する一般ファンの投稿のリポストを続けた。