広島は20日、若ゴイに厳しい練習を課した宮崎・日南での秋季キャンプを打ち上げた。体で覚え込むよう野手はバットを振り込み、投手はボールを投げ込んだ17日間。新井貴浩監督(47)は「全員がMVP」と総括し、変化する年と位置づける2025年に向け「強い選手を、新しい選手を育てていかないといけない」と改めて強調した。
グラウンドにできた輪の中で、石原による一本締めが終わると、首脳陣、選手、スタッフ全員が笑顔でハイタッチして秋季キャンプを打ち上げた。底上げを図るべく、若手に厳しい練習を課した宮崎・日南での17日間。新井監督が振り返る。
「厳しいキャンプだったと思うね。投手はほぼ毎日ブルペンに入ってたくさんの球数を投げ込んでいたし、野手も打撃に重きを置いてかなりの量を振り込んだ。間違いなく振る力は付いたと思う」
打撃に特化したキャンプ。野手は午前9時からバットを振った。ローテーションでフリー打撃、ティー打撃などに汗を流すと、昼食を挟んでもスイングを続ける。悲鳴を上げながらのロングティー、連続ティー打撃で練習を締める毎日だ。
末包 「悪い癖(ドアスイング)を直すキャンプだった。練習では出なかったので、実戦でどれだけできるか。体に落とし込み、2月1日から勝負したい」
取り組む課題、習得に励む技術が実戦で克服、発揮できるか…を確認するために、対外3試合を含む9試合を消化。新井監督も積極的に指導に加わり、オフに取り組む方向性を選手個々に示した。
投手陣も精力的に投げ込んだ。黒田博樹球団アドバイザーの「リスクを背負ってでも、やらないといけない時期」という助言に沿って、益田が888球、滝田は880球、斉藤も842球を投げた。球数ありきではなく、投げて覚えるためだ。
常広 「(キャンプで823球を投げ)12月1月にどういう練習するかを決める期間。何をしたらいいかは大分つかめているので、いい時間になった」
今季のチーム打率・238、52本塁打はいずれもリーグ最下位。慢性的な打力不足、投手陣の息切れが響いて終盤に急失速した現実を踏まえ、新井監督は来季「さまざまなことが変化する、変わっていかなければいけない年」と位置づける。
「新しい選手を、強い選手を育てていかないといけない…と凄く感じる。ここにいる選手は1軍キャンプに結構来ると思う。彼らはオフの期間が大切なので、毎日キャンプと思って練習してほしい」
伝統の猛練習が若手にどう響き、誰がチーム内の勢力図を塗り替えるのか、楽しみだ。 (江尾 卓也)