日本ハムは20日、最速157キロを誇り「火球男」の異名を持つ台湾・統一の古林睿煬(グーリン・ルェヤン)投手(24)と契約合意したと発表した。今月1日に海外移籍制度の申請を行った右腕に、複数のNPB球団が興味を示していた中で、12日に日本ハムが優先交渉権を得ていた。就任4年目を迎える新庄剛志監督も今オフの補強第1弾となる逸材の獲得を喜んだ。26日に台湾で入団会見が行われる予定だ。
まだ来日前なのに、新庄監督は台湾の剛腕にメロメロだ。この日に古林睿煬の獲得が発表されると、球団を通じ「今年から本格的にルェヤンを意識し始めたけど、とにかく一目ぼれ!これは素晴らしい投手だと思いました。優しい顔をしているのに、度胸満点だものね」と大喜びした。
昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップにも台湾代表として出場し、同16日の侍ジャパン戦では6回1死まで完全投球を見せるなど、日本の野球ファンの間でも話題になった。今季は21試合に先発して10勝2敗、防御率1・66で最優秀防御率のタイトルを獲得。台湾リーグMVPにも選出され、台湾球界の中心にいたが、新庄監督は「これまでは“台湾を代表するピッチャー”だったかもしれないけど、これからは“世界で通用するピッチャー”になっていく」と予言した。
先発ローテーションの一角として期待される。今季2桁勝利を挙げた伊藤、山崎、加藤貴の3本柱に古林睿煬も加われば、悲願のリーグ優勝&日本一に向けて強固な投手陣を形成できるが、指揮官は「先発ローテーションに割って入ってほしいけど、ここは競争。焦らず自分の良さを出していってもらって、時間をかけて自分のポジションを確立していってほしい」とし烈な競争を求める。
NPBやメジャー移籍を夢見ていた古林睿煬。王柏融(ワン・ボーロン)や陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)ら台湾のスター選手が所属した球団でプレーすることになり、「日本プロ野球でプレーできることをとても光栄に思います。一日も早く皆さんに会って、野球の話がしたい。さらにレベルアップして、チームに貢献できるように頑張っていきます」とのコメントも残した。
シーズン中から複数回、現地で視察してきた栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)は「直球の魅力はもちろんのこと、変化球の精度はここからさらに洗練されるはず。今後の伸びしろを強く感じている」と言った。無限の可能性を秘めた24歳が北の大地で大きく羽ばたき、9年ぶりの歓喜へ、重要なピースとなる。(田中 健人)